【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ40)

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第239話ページ40

〈Aside〉

私たちは大量の交代を余儀なくされた。

のりかに変わって円堂。

砂木沼くんに変わって小僧丸。

そして私に変わって豪炎寺が入る。

豪炎寺の出場により、会場に歓声が湧く。

【炎のエースストライカー】が、フィールドに帰還した。

私は他の人たちより打ちつけ方が悪かったらしく、医務室のテレビでそんな試合の様子を見る。

豪炎寺……がんばれ。

そう思っていると、私がいる部屋の扉がノックされる。

「はーい！」

看護師さんかな？

そう思いなが返事をすると、入ってきたのは士郎くんだった。

「………っ！士郎くん！」

予想外の人物の登場に私はまだ少し痛むからだを動かしてしまう。

「いたっ…」

「大丈夫…！？」

士郎くんは私のそばに来て、慌てたようにそう言う。

「大丈夫！大丈夫！ちょっと痛かっただけ」

そう言った瞬間、テレビから豪炎寺の声がする。

〘ファイアトルネード！〙

私と士郎くんはほぼ同時にテレビを見る。

豪炎寺のファイアトルネードは怪我をする前よりも、威力が上がっている。

すごい……！

〘トリケラ・シールド！〙

〘もういい！その力は使うな！〙

ペトロニオはラケリトに叫ぶけど、その声は届かず、ラケリトは限界を超えたパワーでシュートを止め、力つきて倒れてしまった。

ラケリトは一旦外へ出され、試合は再び一時中断される。

「………ひどいね、オリオンは」

「うん」

私の言葉に士郎くんは静かに頷く。

試合は再開されて、豪炎寺は小僧丸にパスを出した。

〘ラストリゾート！〙

それは豪炎寺と全く同じ、ラストリゾートだった。

ラケリトが技で抵抗するが、威力に押され、次第に体が仰け反っていく。

〘君たちがラストリゾートを出してくるのは予想済みさ！〙

ペトロニオが打ち返そうとする。

彼の筋肉は、強化サポーターを引きちぎるほどに膨張している。

〘ラストリゾートD(ドラゴン)！〙

イタリアのラストリゾートの対抗策が、日本ゴールに向かう。

ここが正念場だ。

ラストリゾートを打ち返すには、ラストリゾートしかない。

だが、ダメージの残る灰崎が激痛に襲われ、うずくまった。

〘灰崎！〙

まずい、このままじゃ…

〘うおおおおおおおお！〙

そんな時小僧丸がボールへ突っ込んでいく。

小僧丸が足で止めに入ったのだ。

〘だらしねえぞ、てめえら！豪炎寺さんのラストリゾートを継承するとか抜かしやがって、三人がかりでもできねえのかよ！〙