【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ4)

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第203話ページ4

次の日。

「みんなに、昔オリオンが掲げていた信念のことは話したよね」

朝食を済ませた私たちを前に、明日人が話し始める。

「本来のオリオンは、サッカーを心から愛するバレンティン・ギリカナンによってサッカーを信仰するための組織として設立された。でもトップがベルナルド・ギリカナンに変わってからは…という話だね？」

野坂が明日人から聞いた話をまとめてそう聞き返す。

「その話を聞いてから俺はずっと考えてたんだ。これからどうしたらいいのかって。過去がどうだって、今のオリオンのサッカーは絶対に許せない。俺は、俺たちのサッカーでオリオンの選手たちの目を覚ましたい。俺たちのサッカーで勝ち抜いていきたいって思ったんだ！」

つまり、相手がどんな汚い手を使っても、正面から堂々と立ち向かっていこうってことだよね……？

「奴ら、かなり手強いぞ」

「俺は賛成だ！ガツンと行こうぜ！」

剛陣は懸念しているが、円堂は前向きだ。

そして万作やのりかと、次々に賛成の声が上がっていく。

「明日人、俺たちの気持ちは全員、お前と一緒だ！」

一同を代表した円堂の言葉に、明日人は花が咲いたように笑顔になる。

うん、かわいい。

監督がそんな私たちをみてニコニコしながら言う。

「良いですねえ。これぞ一致団結、一丸となって輝く未来へ！ってことで、ここでもう一発、びっくりドッキリな発表ですよ！」

監督の言葉に私たちは首を傾げる。

「衝撃の追加メンバー、水神矢成龍くんでーす！」

現れたのは、星章学園でキャプテンを務める水神矢くんだった。

鮮やかな青い髪に青い瞳。

相変わらずかっこいい。

「来たのかよ」

灰崎はそう言ってるけど、その口元は緩んでいた。

嬉しいのかな、やっぱり。

かわいいなぁ。

そう思ってにひにひしていると、水神矢くんと目が合ってしまう。

すると水神矢くんはにこっと気品のある笑みを浮かべた。

私も思わず笑い返す。

うーん、顔がいい。

水神矢くんって紳士的なカッコ良さがある。

鬼道みたいな感じ。強いていえば。

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その後、練習のためにグラウンドに集まり、準備運動をする。

「久しぶりだな、灰崎」

「言うほど久しぶりでもねえだろ。ったく、いきなり来やがって。星章で待ってるって言ったのはどこのどいつだよ」

「ははっ、知らせなかったのは悪かった。でも嬉しいよ」

「はあ？」

「こうやって同じ場所に立って、共に強くなれるのがな」

私は灰崎と水神矢くんの会話に顔を綻ばせる。