【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ26)

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第225話ページ26

「あの……私、ベルナルドさんに……話が…」

「なぁに？私が聞いてあげるわよ」

ｿﾞｯ

口元は笑っているけど目が笑ってないイリーナさん。

やばい……怖い……！

「いえ……やっぱり、今度で大丈夫です…」

そう言って少し後ずさると、イリーナさんは口元から笑みを消し、私の顎を掴んで自分の方へ引き寄せた。

私は声すら出ずに固まってしまう。

「オリオンを裏切ったあなたがベルナルドに近づかないでくれるかしら。バイ菌がうつるわ」

なっ……

「せっかく私直々に、あなたをオリオンの使徒にすることを決めてあげたのに、馬鹿な子ねぇ。あんな馬鹿な男が監督をする、ろくでもないチームを選ぶなんて」

その言葉に私は思わずムッとしてしまう。

この人、監督と知り合いなの？

「はぁ…？勝手に決めないでよ。頼んでないでしょ、あなたに"オリオンの使徒にしてください"なんて。それに、皆のことバカにしないでよ。
監督は、ちょっと……だいぶ変な人だけど、私たちのことちゃんと思ってくれてるしサッカーのこともよく知ってるすごい人だし、イナズマジャパンのみんなはろくでもなくない！少なくとも、あなたよりは何億倍も素敵な人たちよ！！」

イリーナさんの手を弾き飛ばしてそう言うと、その場がシンと静まり返る。

イリーナさんは、怒りでわなわなと震えている。

奥にいるベルナルドさんは"やばい"という焦った顔をしてこちらに手を伸ばしている。

や、やっちゃった〜！！！！！

私はとりあえずフロイには被害がいかないようにフロイの前にそっと立ふさがる。

すると、イリーナさんが右手を振り上げる。

やばい！

そう思った時にはもう遅くて、その手は私の頬に振り下ろされた。

ﾊﾞﾁﾝｯ

私の顔は反動で横をむく。

いっ……た…

予想以上の痛みに顔を歪めると、後ろから腕を引かれる。

「え………」

「A！走って！」

フロイだ。

フロイは私に短くそう言うと、私の腕を掴んだまま走り出す。

私も、引きずられないようにダッシュする。

「えっ…まだ中にベルナルドさんがいるじゃない！」

「いいから！走って！」

私はフロイと一緒に建物の外まで走った。

「……はぁっ…はぁ…試合後に、ダッシュは…きつ………フロイ、足速すぎるし……」

外に出た瞬間、私は脱力してどっと疲れが押し寄せてくる。

「ごめんね。それより、顔を見せて」

フロイはそう言うと私の叩かれていない方の頬に手を添えて私の顔をマジマジと見つめる。