【イナオリ】元強化委員監視係は世界で戦う〈5〉 (ページ13)

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第212話ページ13

「ん？一星はどこいった？」

円堂がふとそう呟いた。

私も辺りを確認するが、いない。

「そういえば、姿が見えませんね」

のりかがそう言うと、野坂が円堂のそばで立ち止まり微笑む。

「まぁ、そのうち帰ってくるでしょう」

光……一体どこに…

そう考えた瞬間、私の脳内にはフロイが出てきた。

光が黙ってどこかに行くなんて、普通ない。

ということは……

私はみんなに気づかれないようにミーティングルームを抜け出す。

そしてタクシーをつかまえて場所をつたえ、なるべく速くはしってもらう。

これで予想が外れてたら普通に自分の身が危ないけど……

・

「すみません。ここでとめてください」

タクシーがとまり、私はお財布からてきとうにお金を取り出し渡すと運転手の返事も待たずにタクシーを飛び出す。

すると丁度、そこに入っていくフロイと光の姿があった。

「2人とも！」

私がそう声をかけると2人は肩を揺らしてから私の方を見る。

「え……A！？」

「どうしてここに…！」

「それはこっちのセリフだよ。何2人だけで行こうとしてるの！フロイと光のことだから、どうせ食中毒の件で、ベルナルドさんに直談判に行くつもりなんでしょ」

そう言うと2人は顔を見合わせて苦笑いしている。

「そうだよ。オリオン財団の本部にいったらAは危険だ。だから声をかけなかったのに…」

フロイは観念したようにそう言う。

「私のことを気遣ってくれるのは嬉しいんだけど、2人だけにそんなことさせられないよ」

そう言うと光が心配そうに私を見る。

「でも、Aさんはきっとオリオンに狙われて「光、円堂たちが光のこと心配してたよ」っう…すみません」

光の言葉を遮ってそう言うと、光はしゅんとしたように謝る。

「だから、私も2人と一緒に行かせて欲しいの」

「でも…もし何かあったら」

「もし何かあっても、私には守ってくれる人がいるから大丈夫なの！」

笑顔でそう言いながら2人のそばに駆け寄ると、2人は降参と言わんばかりの顔をして私を見る。

「何かあったらすぐ逃げてくださいね」

「うん！」

私たちはオリオン財団の本拠地に乗り込んだ。

・

「うん、ここだね」

「Aは、兄さんの執務室に入ったことあるの？」

フロイが聞いてくる。

私は軽く頷きながら扉を開く。

「まぁ、2、3回……」

私たちはベルナルドさんの帰りを待ち、ソファに3人並んで座る。

真ん中が何故か私で右がフロイ、左が光だ。