57. その瞳の奥には一体 ページ7
「 あの、ミンギュさ 「 あ！ なに、ちょっかい出してんの！」」
この違和感を問いただそうと口を開いたと同時に少し怒った高い声が聞こえた。
見なくてもすぐにその声の主が分かったけれど、
無意識に顔は声のする方へと向けられていて、
案の定、マコさんが眉毛をつり上げてこちらを睨んでいる。
「 Aちゃんは今、仕事中！
うちの子どもたちでも分かるわ、そんなこと。」
ぷんすか蒸気が出そうなほど怒りながらこちらに勢いよく向かって来て、
私の両肩を掴んでいた彼の手を解いた。
「 Aちゃん大丈夫？ ごめんね、うちの愚弟が。」
「 い、いえ… そんな、なにもされてないですから。」
私の返答に、遠慮して言わないとかだったら、怒るよ？
と脅迫混じりに言われるものだから、背筋に冷たいものが走ったけれど。
「 あれ、ミンギュ。久しぶりだね。」
なにもされていないと主張する私を疑うマコさんを必死に説得していたら、
再び同じ方向からそんな声が聞こえてきた。
「 … ああ、ウヌ。」
「 … ん？ なにかあったの？」
なにやら訝しげな顔で私に迫るマコさん。
そんなマコさんを必死に宥める私。
どこか一点を見つめて呆けるミンギュさん。
まさに、カオスな状況。
それにミンギュさん。
さっきからずっと、黙ったままだ。
まるで彼だけ時が止まってしまったみたいに。
「 いえ、なにもなくてですね。… 大丈夫です。」
「 … ほんと？ 大丈夫… なの？ それ。」
私の腕をガシッと掴むマコさんを指差して、
助けいる？ と、気遣ってくれたウヌさん。
こんなときにも、冷静さを欠かないのがあっぱれだ。
ウヌさんの気遣いに、こくこくと頷いて大丈夫のサインを出すと、
穏やかに笑いながら口を開く。
「 … なら、良かった。で、ミンギュ。なにか用でもあった？」
「 ああ、ちょっと話がある。」
「 そう。ちょうど昼休みだし、家に来なよ。」
「 あ、… 」
引き留めようとしたけれど、2人はあっという間に母屋の方へと行ってしまった。
聞きたいことがあったのに。
最近になって気付いたことがある。
私を見る彼の視線はいつも、悲しみで溢れている。
瞳を歪ませて、でも…
悲しさのその奥に、愛しさも溢れていて、
それは、私に向けられているものなのだろうか。
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パリコ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます♡ これからのお話もぜひ、お楽しみにしていてくださいね。 (2月20日 18時) (
レス) id: db564d4a6c (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - ドキドキしながら拝見させて頂いております‥♡更新楽しみにしております^ ^ (2月20日 13時) (レス) @page3 id: 1f09b94a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パリコ | 作成日時：2024年2月15日 12時
