6. ストレートに、ダイレクトに ページ6
こんな恥ずかしいこと言うつもりなんてなかったのに、
緊張とドキドキで正しい判断がまるでつかない私の口からつい溢れてしまった。
「 息が止まる… 病気… か？」
「 … え、病気… ？」
こんな至近距離で、瞳を真っ直ぐに見つめて、
赤い顔を表に出して伝えたのに。
「 危なくなる前に診てもらった方がいい。」
私の両肩を掴んで、心配そうにこちらを見る。
そういうことじゃ… ない！
「 ちょっとミンギュさん… 病気とかじゃないですからね！」
「 いや、きちんと診てもらうべきだ。なにがあるか分からない。」
「 そうじゃなくて… ！ドキドキしちゃうんです！」
きっと彼には、遠回りなんて通用しない。
そう思って、思いっきりダイレクトに言ってみる。
なんて鈍感なんだ。
少し大きい声を出してそう言う私を、
彼は目を丸くし、驚いた表情で見つめる。
「 Aって、名前で呼ばれると… 心臓が、速くなっちゃうんです。
バクバク… して、居ても立ってもいられなくなっちゃうんです… ！」
「 ……… 」
言って、しまった…
彼の無言の圧が身体にずっしりとのしかかって、
違う意味で息ができなくなりそう。
少しは、伝わっているといい。
一ミリでも、ちょっとでも、伝わって欲しい。
きっと彼にとって私は、子どもだから。
そこから一歩でも踏み出したい。
私があなたを、想っているということ。
少しは意識してくれたら、と思いながら、
彼の口が動くのをずっと待っていたら突然、
身体に物理的な重さがのしかかってきた。
「 え… ちょっと、ミンギュさん… ？」
「 … なんだ、病気じゃないのか。」
ぽすっと、音が出てしまいそうなほど勢いよく覆い被さってくる。
思わず後ろによろけてしまうけれど、
彼がしっかり腕を回して抱きしめてくれたから転げずに済んだ。
「 良かった。… 安心した。」
安堵の声になぜか心は暗く曇っていくのを感じる。
どうしてだろう。
答えは毛頭分からず、もやもやするばかり。
「 なにも、身体のどこにも、異変はないんだな。」
「 … は、い。身体はどこも、悪くないです… 」
再び私の肩をがっしり掴んで、真っ直ぐに目を見てそう聞かれる。
そして、前にも感じたあの心の騒めきを感じる。
目の前の私じゃなくて、私を通して誰かを見ているこの感じ…
57. その瞳の奥には一体→←55. あなたに名前を呼ばれると
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パリコ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます♡ これからのお話もぜひ、お楽しみにしていてくださいね。 (2月20日 18時) (
レス) id: db564d4a6c (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - ドキドキしながら拝見させて頂いております‥♡更新楽しみにしております^ ^ (2月20日 13時) (レス) @page3 id: 1f09b94a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パリコ | 作成日時：2024年2月15日 12時
