54. りんごなんて嬉しくない ページ4
よく見ると、綺麗な二重の目元の下に影が落ちたかのようなクマができている。
もしかして、会えなかったここ数ヶ月はずっと忙しかったのだろうか。
なんだか顔も少し、こけた気がする。
顔を見れた嬉しさと、元気がない故の心配とで、
自分でも意識のないまま彼の元へと近付く。
近くで見ると、こんなにクマがひどいなんて…
彼はちゃんと寝ているのだろうか。
「 すごい、クマができてます… 疲れてるんですね。体調、大丈夫ですか？」
「 … ああ、そんなに深刻じゃない。大丈夫だ。」
なんの考えもなしに彼の目元へと手を伸ばし、至近距離で青いクマを見る。
その距離、わずか数センチ。
これだったら、目元を温かいタオルで数分温めれば少しは良くなるはず。
あとは、しっかり睡眠をとって身体を休めれば元気になるよね。
心配が行き過ぎて
唇が触れてしまいそうな距離にまで近付いていることに気付かなかった私は、
その綺麗な瞳と視線が交わって初めて、
とんでもなく恥ずかしいことをしているのだと気付いた。
「 っ… す、すみません。不躾なことを、しました。」
私、なんてことを、
こんなに近付かれて、絶対に嫌な気持ちになったはず。
やっと会えたのに。
もう、彼の顔… 恥ずかしくて、見れない。
「 、どうした。なぜ、そっぽを向く。」
もう絶対に、見せられないほど赤い顔をしていると分かっているから。
咄嗟に背を向けて、顔を隠した。
でも、彼にとってはそれが不思議だったのか、気に入らなかったのか。
少し強い声で訝しげにそう言った。
「 … 別に、なんでもないです。気にしないでください。」
「 なにもないなら、こちらを向けばいい。」
「 いや、えっとその… あ、そうでした！ マコさんに頼まれた仕事があったんです。
早く行かないと。じゃあ、ミンギュさん。また、会いましょうね！」
いち早く、この場から離れたくて、
とってつけたような言葉を並べて誤魔化す。
とりあえず、この熱をどうにかしたい。
こんなだらしない顔、彼に見せるわけにはいかないから。
そうして逃げたはずだったのに、
いつの間にか私の右手は彼の右手に掴まれていて、
敵うはずもない強い力で引っ張られる。
ぐるっと世界が回って、次の瞬間には彼の顔で視界がいっぱいになった。
「 … どうした。顔が、りんごになってるぞ。」
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パリコ(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます♡ これからのお話もぜひ、お楽しみにしていてくださいね。 (2月20日 18時) (
レス) id: db564d4a6c (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - ドキドキしながら拝見させて頂いております‥♡更新楽しみにしております^ ^ (2月20日 13時) (レス) @page3 id: 1f09b94a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パリコ | 作成日時：2024年2月15日 12時
