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「ちょっと！鏡夜先輩！」
鏡夜先輩は私を抱きかかえたままニコニコ笑うだけで全く陸に戻ろうとしない。
「馨と何話してたの？」
今更なんなんだと困ってしまう。
「たいして話してないですよ？」
「そうか」
鏡夜先輩は呟いて波に揺られている。
「それよりも…下ろしてくださいよ！」
「いいのか？」
ゆっくりと降ろされた私は驚いた。
既に足がつかない地点にいる。
「ひゃっ」
鏡夜先輩にまた抱き寄せられてしまう。
馨に関しては焦りしか感じなかったのに……
今この状況はどうしてもドキドキしてしまう。
「いじめがいがあるな」
「ほんっとに、」
悪魔と言いかけて、余りの顔の近さに何も言えなくて俯いた。
「早く戻りません…？」
「もう？」
顔を見れない私と無理やりでも目を合わせてこようとする鏡夜先輩。
「はやく！」
私は昨日欠けたメガネを鏡夜先輩の顔から外した。
「……なんも見えないんだけど」
これはこれでかっこいい。
目をシパシパさせながら私を見る。
「わっ」
大きい波が来て体制が崩れた。
ぎゅっと体がさらに触れ合う。
これは別の意味で死んじゃう……。
「戻りましょ、じゃなきゃメガネ、投げますよ！」
「流石に予備は持ってきてるが……」
「そろそろ許してやるか」
許す？
「……なんの罰だったんですかこれ？」
鏡夜先輩は体の向きを変えて私を離さず陸に向かっていく。
「朝から馨と随分仲良さそうだったからね」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「なんで知って……」
……っていうかそれよりもそれって嫉妬？
嫉妬してたんですか？なんて勇気がなくて聞けない。
何か、何か言わなきゃ…と考えている間に足がつくところまで来た。
目がばちっと合う。
何か……頭に浮かぶのは好きですという4文字だけだった。
「夏はまだまだ長いから」
鏡夜先輩は私の頭をいつものようにぽんぽんと叩いた。
見透かされたのかなんなのか。
私は不思議と苦しくなって海からあがった。
火照っているのか海のおかげで冷えているのかも分からなかった。
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性癖歪みマン - うわ〜、好きです、文がとても丁寧で読みやすかったです！続きが気になります、 (1月29日 20時) (
レス) @page6 id: 7bbfa380c9 (このIDを非表示/違反報告)
稔(プロフ) - 続き待ってます！ (2022年11月8日 23時) (レス) @page1 id: d70880f41f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Eiri | 作成日時：2022年10月4日 0時
