『正樹、久しぶり』 ページ17
待ちに待った文化祭。
景品ありの出し物である紫陽花組の射的は、かなりの人が集まっていた。
「あー!当たんない!」
「あのポイントってホントに出したヤツいんのかよ」
人混みの中からそんな声が聞こえて、私はチラリと黒板に書かれたランキングを見る。
もうそろそろお昼時だが、一番上は相変わらず私が昨日叩き出したポイントのままだ。
まさか自分に銃のセンスがあるとは思わなかった。前世でも使えばよかった。
自分のクラスの様子見も程々に、私は見回りを再開した。
「あ、A!」
生徒との会話も程々に校内を回っていると、人混みの奥から私の名前を呼ぶと共に、大きく手を振る人物が一人。
久しぶりの再会に、私も周りに生徒や他の先生方がいるもの構わず駆け寄った。
『正樹、久しぶり』
「本当に先生やってんだな。昔から面倒見よかったし、似合ってるっちゃ似合ってるけど」
『正樹こそ、よくテレビに出てるじゃない』
夏休みで練習も数日休みだからと、県外からわざわざ来てくれた正樹。
正樹は大学でもサッカーを続けており、プレーの才能とルックスの良さから、よくテレビで取り上げられているのを見ることがある。
当然それはうちの生徒達も知っているわけで、マスクも何も付けていない素顔の正樹に、周りの人達からはまるで芸能人を見るかのような視線を向けられていた。
『目立つからマスクするか眼鏡付けるかしてって言ったじゃない...それで、彼女は?』
私はちらりと正樹の隣にいる女性に視線を移す。
黒髪ボブで小柄、くりっとした大きな目が可愛らしいその女性は正樹と手を繋いでいて、その繋ぎ方から聞かなくても二人の関係は一目瞭然だった。
「同じ大学の、俺の彼女。大学入ったばっかの頃、なかなか結果出せなくて気落ちしてたときに支えてくれたんだ」
「は、はじめまして。正樹君のお義姉さんですよね。写真で見るよりずっと綺麗...」
『ありがとう。正樹がお世話になってます。正直正樹には勿体ないくらい可愛くて礼儀正しい子ね』
「いや、俺もそう思うよ」
幸せそうな二人に、私も笑みを零す。
よかった、ちゃんと前に進めてる。
一人心の中で安心していると、私達の頭上にあったスピーカーから、放送を知らせるチャイムが鳴った。
「えー、只今より本日の目玉、キメツ学園の主張を行います。皆様グラウンドへお集まりください」
『告白が楽しみなんですね...』→←『...そんなに上手くないけど』
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名無し58428号(プロフ) - うおおおおついにか!これから楽しみです! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - ついに婚約…これからどうなっていくのかとても楽しみです!! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: f6ff1cdc98 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - 名無し58428号さん» 返信遅れて申し訳ありません!そう言っていただけて、こちらとしても作品を作る励みになります!ありがとうございます! (2021年12月14日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
名無し58428号(プロフ) - 最高っですっ! (2021年12月8日 1時) (レス) @page39 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - お酒さん» 応援ありがとうございます!何とか乗り越えて来ました(笑) (2021年7月26日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2021年5月2日 23時