同僚の先輩兼恋人に恋慕されているんだが

『...そんなに上手くないけど』 ページ16

文化祭前日になると、授業は丸一日文化祭の準備に使われる。

と言っても、私達のクラスは景品と的、ピストルやパチンコなどを並べて軽く装飾するだけなので、午後の時間は完全に遊び時間になっていた。



「え、先生達がいた時、キメツ学園の主張なかったの？楽しいのに勿体ない」



誰が多くポイントを取れるか勝負している生徒達を見ながら一部の生徒と話していると、例のプログラムの話題になった。



『楽しいの？』

「聞いてる方は楽しいよ。不満とか本音はどっちかって言うとボケ要素の方が多いから聞いてる側は大笑いだし、告白なんて体育館壊れるんじゃないかってくらい盛り上がるんだから」

「うちのクラスからも二、三人出るみたいだしねー」

「体育祭の借り物競争でカップル成立より、ちゃんと勇気持って告白して成立する方が、女子としては胸きゅんだし青春」

『へぇ...』



だから毎年出る人が減らないのか、最近の若者のメンタルは凄い。

その後も生徒達の話に耳を傾けていると、ポイント争いをしていた男子生徒が私を呼んだ。



「蘭先生も撃ってみてよ！」

『...そんなに上手くないけど』

「いいからいいから」



早く、と促され、私は渋々ピストルを受け取る。

教えてもらった通りにリロードし、銃口を最高点の150ポイントの的に向けた。


自然と静まり返った教室に、コルクが発射される音が響いた。

コルクは見事に当たり、小さな的はパタリと後ろに倒れた。



「...す、すげー」

「俺達何回やっても当たんなかったのに、一発で...」

「てか先生銃似合い過ぎ。めっちゃカッケー...」



...昔は銃じゃなくて刀を握ってたんだけど。

玄弥くんが銃を使っていたけれど貸してもらったことはなかったので、私はこれが初めてだ。コルクだけど。


そして、四回中四回を高ポイントに当てた私の合計ポイントは、明日からの二日間、ポイントランキングの一番上に貼り出されることとなった。

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