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『...ふふ、かもしれませんね』 ページ13

八月半ばになると、学校はお盆休みで立ち入りが出来なくなる。

つまり、私達教員も数日間仕事が休みだ。


私は献花と線香を持ち、宇髄さんと一緒に以前の家の近くの墓地へ向かった。

勿論、両親と祖父母の墓参りのためだ。


毎年お盆と正月にしか来られない為、手を合わせる前に墓石やその周りを掃除する。



『...昔は、こうやってお墓を建てる風習は、殺し屋には無かったんです』

「...おう」

『だから私も、四人の埋葬はしませんでした。それに、今こうして私がいて、十数年前まで両親達が私を育ててくれたという事実も、昔は信じられなかった」



墓石を拭きながら、私はゆっくり言葉を紡いだ。


正直、地獄に行くと思っていた。私も両親達も。

でも、何故か私はこの世界で生きている。

けれど両親達は、昔よりずっと早い歳にこの世を去った。


まるで、地獄へ行かせなかった分の代償だと言わんばかりに。



『...せめて前世と同じ十三歳までは、ちゃんと家族として過ごしてみたかったです』

「...家族だろ」

『え...?』



その言葉に、私は手を止めて宇髄さんを振り返った。

宇髄さんは小さく笑って、綺麗になった両親達の墓を見た。



「家族の形が他と違うってだけで、縁が切れたわけじゃねぇ。それに、ドラマとかでもうすぐ死ぬ親が子供によく言うだろ、"死んでもずっとあなたの傍にいる"って。Aの両親と祖父母も、そうなんじゃないのかね」

『...そう、なんですかね...』

「ま、信じるか信じないかはお前次第だよ」



宇髄さんは私の頭をぽんっと撫で、線香に火を付けた。

私も献花を二つに分け、供える。


静かに手を合わせ、私は心の中で祈った。



『(父上、母上、お祖父様、お祖母様。もしあの世で前世の記憶を思い出したとしても、これからも私の事を見守ってくれますか)』





「そういやお盆の墓参りって、この世に帰ってくる御先祖様の魂をお迎えする為らしいな」

『はぁ...』



駐車場に向かう途中、宇髄さんが突然そんな事を言い出した。

昔から言われていることなので私も知っているが、それがどうしたのだろう。

私が首を傾げていると、宇髄さんは優しげな笑みを向けた。



「少なくともお盆の期間は、両親達が傍にいるんじゃねぇの?」

『...ふふ、かもしれませんね』



私は一度足を止めて墓地を振り返った後、少し先に進んだ宇髄さんを追った。

その時誰かに背中を押された気がしたのは、気のせいか。

『...なんですか?これ』→←『...どうしたんですか?』



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名無し58428号(プロフ) - うおおおおついにか!これから楽しみです! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - ついに婚約…これからどうなっていくのかとても楽しみです!! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: f6ff1cdc98 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - 名無し58428号さん» 返信遅れて申し訳ありません!そう言っていただけて、こちらとしても作品を作る励みになります!ありがとうございます! (2021年12月14日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
名無し58428号(プロフ) - 最高っですっ! (2021年12月8日 1時) (レス) @page39 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - お酒さん» 応援ありがとうございます!何とか乗り越えて来ました(笑) (2021年7月26日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2021年5月2日 23時

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