【鬼滅の刃】今世では教師に溺愛されてるんだが【宇髄天元】

『...で、今からこれをやると？』 ページ33

色とりどりのライトが光る沢山の機械。

宇髄先生が好きそうな派手な雰囲気のそこは、ゲームセンターだった。



『何故ゲームセンター...？』


「ゲーセンに来たカップルがやることって言ったら一つだろ」



見慣れない機械をキョロキョロと見ながら、

私の手を握って少し先を歩く宇髄先生について行く。


やがて、ボックスのような四角い機械が見えてきた。

垂れ幕には女子高校生らしき人達の加工写真がプリントされている。



『何ですか？これ』


「"プリクラ"って言う、取った写真をシールに出来るやつ」



なるほど、これがプリクラ。

中等部だった頃、何人かの女子生徒が筆箱の蓋の裏に自撮り写真を貼っていたのを見たことがある。



『...で、今からこれをやると？』


「そ。こういうのは思い出になるからな」



垂れ幕にプリントされている加工写真を見て、私は眉を寄せた。

写真自体嫌いなのに自撮りなんて、嫌に決まっている。

たとえ宇髄先生と一緒であろうとも。



『これをやるくらいなら、普通の写真でいいです』


「こっちの方が派手でいいだろ。ほら入るぞ」


『え、ちょっと...！』



宇髄先生は私の手首を掴むと、強引にボックスの中に連れ込んだ。

正面にあるタッチパネルを慣れた手付きで操作する宇髄先生。

やがて、天井にあるスピーカーから女性の声が聞こえてきた。



【正面のカメラに注目してね】



「A、もうちょいこっち来い。前のカメラ見てろよ？」



宇髄先生に肩を引き寄せられ、互いの身体が密着する。

離れようとする前に、カウントダウンが始まった。



【３・２・１...】



『...！？』



カシャッ！



「よし、出るぞー」


『"出るぞー"じゃありません、何するんですか...！？』



シャッター音がなる前に頬に感じた柔らかい熱。

宇髄先生にキスされたのだと気付き、出て行こうとする宇髄先生を引き止めた。



「何って、キス？」


『何でする必要があるんです...！』


「こういうのはプリクラの醍醐味なんだよ。それとも、嫌だった？」



眉を下げて、小さく首を傾げる宇髄先生。

私が弱い宇髄先生の表情と仕草だ。

私は自分の顔が少し熱くなるのを感じながら、宇髄先生から顔を逸らした。



『嫌とかではなくて、いきなり過ぎるんです。しかも公共の場ですし...』


「じゃあ、家ならいい？」



そう言って、宇髄先生は悪戯っぽく笑った。

そういう問題じゃないんだが、何を言っても聞かないんだろう。

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