【鬼滅の刃】今世では教師に溺愛されてるんだが【宇髄天元】

『行きましょうか、明日』 ページ29

今週最後の平日。

いつもと変わらず朝食を作り、まだ寝ている宇髄先生を起こしに行く。



『宇髄先生、起きてください』


「ん"〜...」



私が声をかけると、宇髄先生は嫌だと言わんばかりに寝返って背を向けた。


昔は忍としての癖が残っていたからそれ程でもなかったのか、

宇髄先生は滅法朝に弱い。

だから毎朝余裕を持って朝食を作っているのだが、

日によって起きる速度が違うので、たまにギリギリになってしまうこともある。



『早く起きないと遅刻しますよ』


「俺、車...」


『なら、朝食は一人で食べてくださいね』


「やだ！」



そう言って、ガバッと身体を起こした宇髄先生。

これも一緒に住むようになって分かったことなのだが、

宇髄先生は必ず私と朝食を食べたいらしく、

私が"一人で食べて"と言えば大体すぐに起きてくれる。



『いやなら顔洗って来てくださいね』


「お〜...」



起きたばかりでふわふわとしている返事を聞きながら、私はリビングに戻った。

焼いていたトーストをお皿に出し、目玉焼きとサラダと一緒に机に並べる。

顔を洗って来た宇髄先生が座ったのを確認し、私達は手を合わせた。



「A、明日暇か？」


『明日ですか？特に用はありませんが...』



トーストをかじりながら聞いてきた宇髄先生に、私は首を傾げながら答える。

すると、宇髄先生はパッと顔を輝かせた。



「じゃあ、午後から買い物行こうぜ」


『仕事は？』


「午前中に終わらせる。お前服とか全然ねぇし、俺が派手に似合うの選んでやるよ」



...いや待て、この人今何て言った？



『何で私があまり服持ってないの知ってるんです？』


「内緒」



人差し指を口元に立てて右目を閉じる宇髄先生。

普段なら多少は見惚れていたかもしれないが、状況が状況なのでそうもいかない。



『そんな怪しい人に選んで欲しくありません』


「いや覗きじゃないからな！？」



フイッと顔を逸らした私を見て、宇髄先生は慌てて弁解し始めた。

いくら悪戯好きな宇髄先生でも、そんなことしないというのはちゃんと分かっているので、

慌てる宇髄先生に内心少し笑いながら、私は『冗談ですよ』と宇髄先生を見る。



『行きましょうか、明日』


「よっしゃ」



私がそう言うと、宇髄先生は嬉しそうに笑った。

その笑顔がまるで子供のようで可愛らしく見えたとは言わないでおこう。

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