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『これからは宇髄先生が家族になってくれるんでしょう?』 ページ14

「お前、部活何にするか決めたか?」



焼き鮭を頬張りながら、宇髄先生はそう言った。



『入るつもりはありませんが』


「美術部入ってくれねぇの?」


『帰りが遅くなると、夕飯を作る時間も遅くなるでしょう。

 役員は芸術委員に決まったので、それで我慢してください』



私がそう言うと、「そういや美術選択してたな」と宇髄先生が思い出した様に言う。

こういうところを見ると、この人が教師で本当にいいのかと思ってしまう。

上級生からも"輩先輩"などと呼ばれているようだし。



「...聞いていいか分からねぇが、お前、親はどうした?」


『私が六歳の時に事故で亡くなりましたよ。薫さんから聞きませんでしたか?』



急に真剣な表情になったかと思えば、そんなことか。

私はそう軽く考えていたのだが、宇髄先生は違うらしい。



「そうじゃなくて、前世と同じだったのかって話」


『...そうですね。少なくとも容姿は同じでしたよ』



『流石に記憶はなかったみたいですけど』と付け加えながら、私は箸を進める。


父も母も、最期まで私にたくさんの愛情を注いでくれた。

当たり前だ。容姿は同じでも中身は全くの別人なのだから。

あの二人は今世での両親であり、殺し屋としの両親ではない。


だが、容姿が同じというは、かなり影響力があるものらしい。



『別人だと分かっていても、本当にあの両親に愛されているように思えて嬉しかったです。
 
 両親の前に病気と寿命でこの世を去った祖父母も同様に』



あの時代、殺し屋として生まれていなければ、こんな生活を送っていたのだろうか。

なんて、何度思ったことだろう。


...けれど、それはもう終わったことだ。



『確かに家族を亡くしたのは悲しいですが、

 これからは宇髄先生が家族になってくれるんでしょう?』



私の言葉に、宇髄先生は猫の様に大きな目をさらに大きく見開いた。

しかしそれは一瞬で、すぐに自信に満ちた笑顔に変わる。



「お前の両親が愛せなかった分、俺がド派手に愛してやるよ」



...相変わらずの余裕。

それが宇髄先生らしいと言えばらしいが。


やはり前世と変わっていないことを改めて感じ、

私は少し嬉しく思いながら次の話題へと話を進めた。

『子供達も私の髪を触るのが好きだったなと思い出しただけです』→←『夕飯を作っていただけですけど...』



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桜餅(プロフ) - みたらしさん» ありがとうございます!明日は部活休みなので、続編の方も多めに更新出来るよう頑張ります! (2020年7月6日 23時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
ハル時々はるる(プロフ) - わぁぁぁ続編楽しみに待ってます!私も部活やらおまけに受験もあって忙しいですがお互い頑張りましょう!応援してます!! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1867b93bcb (このIDを非表示/違反報告)
みたらし - 続編楽しみです!部活とか大変だと思いますけど応援してますね〜 (2020年7月4日 22時) (レス) id: 2fd201009b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ぽんちゃんさん» 大丈夫...だと思いますw夢主さんも宇髄さんも気配とか音で分かりそうなので! (2020年6月29日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃん(プロフ) - ブレスの交換を他の女子に見られてないよね?大丈夫 (2020年6月28日 5時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2020年6月2日 23時

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