検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:224,679 hit

『...ちゃんと教師してるんですね』 ページ19

「また明日」


『えぇ、また明日』



先に走って行った伊之助くんの後を追う炭治郎くん達を見送って、

私は約束通り美術室のドアを開けた。

その音で、正面の教卓でペンを走らせていた宇髄先生が顔を上げる。



『随分量が多いですね』


「今日授業があった二、三年の春休みの課題の確認してんの。

 一人一人の絵を見るのは個性があって楽しいが、地味に面倒くせぇ」



私は教卓に近付き、一番上に重ねられた画用紙を覗き込んだ。

どうやら三年生のもののようで、課題は風景画だったらしい。

裏にはその風景を描いた日付、場所、その時の感想や工夫点を書いたプリントが貼ってある。


宇髄先生も面倒くさいといいながら、しっかりコメントを残している。

ここにこの色を使ったのはよかった、ここはもう少しこうした方がよいなど、

よくよく絵を見ないと気付かない様な細かなアドバイスばかり。



『...ちゃんと教師してるんですね』


「おい、どういう意味だ」


『柱稽古であれだけスパルタだったんですから、誰だってそう思いますよ』



そう言うと、「あれは一般隊士の体力がなさ過ぎたんだよ」と眉を寄せ、

宇髄先生は再びペンを持った手を動かし始めた。



『それで、今回は何のご用ですか?』


「別に用はねぇけど」



その性格からは考えられないような綺麗な字が書かれて行くのを見ながら聞くと、

返って来たのはそんな答え。

何か用があったから呼んだのだと思っていた私は、ジトッとした目を宇髄先生に向けた。



『でしたら何故呼んだんです?夕飯の支度があるんですが』


「んー...一緒にいたかったからって言ったら、怒る?」



悪戯っぽく口角を上げて、チラリと私を見上げる宇髄先生。

流石にこれで絆される程甘くなってはいないので、私は小さく溜息をついた。



『今じゃなくても、家に帰れば嫌でも一緒にいるでしょう。

 用がないなら帰りますからね』


「送るぞ?」


『仕事してください』



そう言い残して、私は美術室を後にする。

...少し冷たくし過ぎただろうか。いや、あそこで甘やかしては調子に乗るのがお決まり。

そんな気持ちが心の中で渦巻くのを感じながら、私は帰路へついた。

『いとこ...はい?従兄弟?』→←『善逸くん、それ褒めてる』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (123 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
381人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜餅(プロフ) - みたらしさん» ありがとうございます!明日は部活休みなので、続編の方も多めに更新出来るよう頑張ります! (2020年7月6日 23時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
ハル時々はるる(プロフ) - わぁぁぁ続編楽しみに待ってます!私も部活やらおまけに受験もあって忙しいですがお互い頑張りましょう!応援してます!! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 1867b93bcb (このIDを非表示/違反報告)
みたらし - 続編楽しみです!部活とか大変だと思いますけど応援してますね〜 (2020年7月4日 22時) (レス) id: 2fd201009b (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ぽんちゃんさん» 大丈夫...だと思いますw夢主さんも宇髄さんも気配とか音で分かりそうなので! (2020年6月29日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃん(プロフ) - ブレスの交換を他の女子に見られてないよね?大丈夫 (2020年6月28日 5時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2020年6月2日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。