【鬼滅の刃】何故か既婚者にとてつもなく求婚されるんだが【宇髄天元】

『...自分から言い出しておいてあれですけど、私、何も返せませんよ？』 ページ5

『...以上です』


「分かりますぅ〜！天元様に抱きしめられると、すごい安心しますよね！」



私の話を聞いて一番にそう言った須磨さんを筆頭に、他の二人もうんうんと頷く。

まきをさんが机に両肘を付き、からかうような笑みを浮かた。



「にしても、Aにも可愛いところがあるじゃないか」


「蘭さんは天元様に抱きしめられるのが好きなのね」



雛鶴さんも微笑ましいと言わんばかりに顔を綻ばせる。

言葉に語弊があるが、弁解しても無駄だと思うので触れないでおこう。



『そもそも、誰かに抱きしめられる機会がなかったので...』


「家族からも？」


『はい。頭を撫でられた事も、"よく頑張った"と褒められた事もありません』



私がそう言うと、三人は顔を見合せる。

どこが気まずそうな雰囲気に、私は急いで付け足した。



『ですが、もう終わったことですし、私にとってはそれが当たり前なので』


「それは違うわ、蘭さん」



私の言葉に、雛鶴さんは真剣な顔をして首を振る。



「愛し合って、助け合ってこその家族だもの。

　私達も知らなかったけれど、天元様がそれを教えてくれた。

　"仮嫁"と言えど蘭さんも家族なんだから、そんなこと言わないで？」


『...自分から言い出しておいてあれですけど、私、何も返せませんよ？』


「何言ってんの」



すると、今度はまきをさんが目を見開いた。



「いいんだよ別に。Aが私達と一緒に暮らしていて幸せだと思ってくれるなら、それで」


『そういう、ものなんですか？』



人を殺して結果を残さなければあの家にいられなかった私にとって、

それはすぐには理解しがたい事だった。

それでも、お嫁さん達は明るく笑って「勿論！」と頷いてくれた。

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