【鬼滅の刃】何故か既婚者にとてつもなく求婚されるんだが【宇髄天元】

・怪我を隠していたら怒られたんだが【前編】 ページ39

顔が整っている部類に入る天元様は、

一般の女性だけでなく女性隊士にも人気がある。

それは柱を引退した今もしかり。


そんな彼女達は、鬼殺隊に入る前から共にいるお嫁さん達はともかく、

あとから嫁になった私をよく思っていないらしい。


女の恨みとは恐ろしいもので、階級など関係なく自分達に出来ることは何でもやる。

勿論それは悪い意味であり、要するに"嫌がらせ"というやつだ。


今回の合同任務で見事にその女性隊士達と一緒になった私は、

その嫌がらせで痛めた足を少し引きずりながら屋敷までの道を歩いていた。


天元様の嫁になるからにはそれなりの覚悟はしていたので構わないのだが、

まさか本当に起きるとは思わなかった。

一応過去にも事例があるので、もう慣れたものだ。


屋敷に着き、玄関の前で一度息を吐いた。

原因が原因なので、悟られない様にしなければ。

気持ちを切り替え、私は玄関の戸を開ける。



『ただいま帰りました』


「おう、お帰り」



出迎えてくれたのは天元様だった。

お嫁さん達の気配がしないので、多分買い出しに行っているのだろう。



「遅かったな。任務先、そんなに遠かったか？」


『途中で別の任務が入ったんです』



足を引きずりながらだったので遅くなった、とは口が裂けても言えないので、

私は適当に嘘をついて言い訳をした。

そんな私を、天元様は探るような目で見つめて来る。



『...どうかしましたか？』


「何隠してる」



天元様の言葉に、私は思わず足を止める。

...流石に鋭過ぎではないか？と思いながらも、私は天元様を振り返った。



『いえ、何も隠していませんが』


「じゃあ何でそんなに居心地悪ィ音が聞こえるのかねェ」


『...天元様の気のせいかと』



表情を変えず突き通すと、天元様の雰囲気が変わった。

体中を刺す様な痛みに、怒らせてしまったのだと気付くがもう遅い。


天元様は折れるのではないかと思うほど力強く私の手首を掴み、

そのまま天元様の部屋へと歩き出した。

いつもは物音を立てない天元様が、障子を壊す勢いで開ける。

そのまま私を部屋の中へと投げ捨てた。



『天元様、一体なに、を...』



受け身を取って身体を起こした私は天元様を見て固まった。

天元様の目が、今まで見たこともないほど冷たかったから。

・怪我を隠していたら怒られたんだが【中編】→←☆甘えて欲しいんだが

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