【鬼滅の刃】何故か既婚者にとてつもなく求婚されるんだが【宇髄天元】

・興味本位だったんだが ページ37

「A、これ天元様の部屋に片付けて来てくれない？」


『はい、分かりました』



今日は日差しもあまり強くはなく、絶好の日なたぼっこ日和というやつだろう。

取り込んだ洗濯物を縁側で一緒に畳んでいたまきをさんに頼まれ、

私は天元様の衣類を受け取って天元様の部屋に向かった。


普段なら一つ声をかけて入るところだが、

天元様は暫く前に散歩へ出掛けたのでいない。


箪笥に衣類をしまい部屋を出ようとすると、

開けっ放しだった襖から陽光が差し込み、机の上のあるものを照らした。


薄い桃色の輝石が付いた、天元様の額当てだ。

柱を引退してからは付けているところを見ていないが、

輝石の艶からして手入れは毎日しているのだろう。


何となく気になって持ち上げてみると、思いの外重い。

これを戦闘中もずっと付けていると考えると、億劫になりそうだ。

天元様の体格ならこれも軽いの部類に入るのだろうが。


にしても大きい。私の手三つ分程の大きさがある。

そっと自分の額に宛がってみると、端がかなり余ってしまった。

部屋の隅にあった鏡台で確認してみても、やはり不格好だ。

それでも天元様とお揃いになった様で、少し嬉しさもある。



『...お揃い...』



そんなものとは無縁だったので、口に出してみていると何だかくすぐったい。

そろそろ戻らなければと額当てを元の位置に戻し腰を上げようとすると、

その途中で私は身体の動きを止めた。



『...天元様、いつからそこに？』


「お前が俺の額当て付ける少し前だな。

　俺の気配に気付かないくらい夢中で、しかも"お揃い"ねぇ。

　ド派手に可愛いことしてくれんじゃねぇの。なぁA？」



背後から聞こえた声は、抑えてはいるのだろうが微かに笑いを含んでいる。

私は天元様を振り返ることなく机に突っ伏した。

正直に言おう、死にたい。



「別にもっと付けててもいいぜ？なんなら化粧もしてやろうか。

　そしたらもっと"お揃い"になるぞ」


『もう掘り返さないでくれませんか...』


「こりゃあ嫁達に伝えねぇとな！雛鶴ー！須磨ー！まきをー！」


『なっ...天元様っ...！』



天元様が大声でお嫁さん達を呼ぶので、私は慌てて立ち上がった。

上機嫌な天元様と顔を赤くした私の鬼ごっこが始まるまで、あと数秒。

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