【鬼滅の刃】何故か既婚者にとてつもなく求婚されるんだが【宇髄天元】

・嫉妬されたんだが ページ32

「あ、あのっ！雨柱様！」


『...はい、何でしょうか』



ある日の昼下がり、長期任務を終えて屋敷までの道を歩いていた時のこと。

屋敷までもうすぐというところで、私はある一般隊士に呼び止められた。



「俺、以前元下弦の鬼と遭遇したときに助けてもらって...」


『あぁ...それが何か？』



なるほど、道理で見覚えがあると思った。

すると、一人で納得している私の前で、その一般隊士はいきなり頭を下げた。

そして、その後ろからこちらに歩み寄って来る人影が一つ。



「俺、実は雨柱様と同期で、最終選別で一目惚れしてて...！

　以前の任務で、その美しさに改めて惹かれました！よろしければ俺と...」


「おーおー、情熱的な告白なこった」



多分"付き合ってください"と続くはずだった言葉を、

天元様が嘲笑を浮かべながら遮った。

後ろを振り向いた一般隊士の顔から、徐々に血の気が引いていく。



「ううう宇髄様！？」


「告白してるとこ悪いが、コイツは俺の嫁なんでね。分かったらとっとと失せろ」


「よ、嫁！？え、えっと...すみませんでしたぁ！！」



そう叫ぶと、一般隊士は怯えた顔で走り去って行った。

その後ろ姿を見送ったあと、私は天元様に目を向ける。



『事実ですが、もう少し言い方を考えてください』


「あれでも優しい方だっての。

　この神の嫁でありながら、あんな地味な野郎の告白受けてんじゃねぇ」


『向こうから一方的だったんですが...』



そう言っても、天元様は不機嫌なまま。

たかが告白で、と思った私の頭に、ふと一つの単語が浮かび上がる。



『...嫉妬してます？』



その言葉に、天元様の肩がピクリと跳ねた。

それが少し嬉しくて、同時に優越感が私の心に広がる。



『図星ですね。ありがとうございます』


「生意気...」


『私はそう簡単になびきませんよ』



『ですから安心してください』と言うと、天元様は少し顔を背けた。

そして、顔を背けたまま大きな溜息をつく。



「お前、そういうのどこで覚えてくんの？無意識？」


『何がです？私は事実しか言ってませんけど』


「あーもういいわ...」



投げやりだったが、怒ってはいない。

故意ではないとはいえ、少し幼い天元様が見れて満足だ。


余談だが、私が天元様の嫁であることはたった二日で全隊士に広まったらしい。

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カナヲ誕生日おめでとう！

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