『...なんて、夢物語ですよね』 ページ24
『それで、今日はどんなご用でしょう』
「昼間、どこ行ってた？」
私が聞くと、音柱様は盃に口を付けながら質問を返して来た。
それに対し、私も質問で返す。
『何故そんなことを聞くんですか？』
「飯の時、お前から腐った血の臭いがした」
『...耳だけでなく、鼻も利くんですね』
出迎えてくれたお嫁さん達からは何も言われなかったのだが、
音柱様には分かっていたらしい。
私は小さく息をつき、懐から後で引き出しにしまっておこうと思っていた写真を取り出す。
『"以前の"家に行っていました。
今日は私が家を出た日であり家族の命日でもあるので、自分なりにけじめをつけに』
「その写真は？」
『自分の部屋にあった鏡台の引き出しから見つけたものです』
私が差し出した写真を受け取った音柱様は、じっとそれを見つめる。
「この間言っていた家族写真ってのはこれか？」
『いえ、それは私が生まれたばかりの時の写真です。
これは多分私が四つの頃に撮った写真だと思います』
「...派手に笑ってんな、家族全員」
音柱様も、私と同じところに注目したようだ。
もし私が自分の過去を話す前にこの写真を見せていたら、
きっと音柱様はいたって普通の家族だと勘違いしていただろう。
『何故笑っているのか、何故この写真を撮ったのかは分かりません。
ただ、私が覚えていないだけで、昔は平和だったのかもしれませんね』
そう考えると、私は自分で受け入れなかっただけであって、
本当は家族から愛を貰えていたのではないかと思えてきた。
『あの厳しい訓練も、少しでも私が死なないためにという気持ちがあったなら。
抱きしめたり頭を撫でたりしなかったのも、仮に自分達が死んだとき、
私が引きずらないようにするためだったとしたら...なんて、夢物語ですよね』
どれも私の勝手な憶測だ。
でももし、本当にそんな気持ちがあったのならと思うと、
私の心には少しの後悔と、寂しさが浮かび上がった。
それを音で察したのか、音柱様は盃を置くと、そっと私を抱きしめた。
『私は、あなたが好きです...音柱様』→←『私の音は殆ど聞こえないと言っていたのに、そういう音は拾うんですね』
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杏(プロフ) - とても面白かったです‼︎ですが番外編宇髄さんが小さくなった後編にて、左腕が復活しているのが少し気になりました…! (2022年2月3日 3時) (
レス) @page46 id: 3b99a7eee8 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 日向鬼@青いブレスレット運動参加さん» 有り難過ぎるお言葉ありがとうございます！！宇髄さんカッコカワイイ、好き←一緒に尊死しましょう(( (2020年5月28日 22時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - やばい。鼻血出てくる…天元様想像しながら見てたらもう、尊死しそうになる。応援してます！だいすきです(( (2020年5月28日 22時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 皐月ばっふぁろーさん» ありがとうございます！宇髄さんのかっこよさは本当に神ですよねw私も大好きです！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
皐月ばっふぁろー(プロフ) - 天元様好きすぎるwもう無理ww (2020年5月22日 1時) (レス) id: 9e1ebe4e73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イリア x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時：2020年5月10日 22時
