【鬼滅の刃】何故か既婚者にとてつもなく求婚されるんだが【宇髄天元】

『...そんなんでこの先大丈夫ですか？』 ページ3

『お館様は、未来予知の能力か何かをお持ちなんですか？』


「どうした急に」



廊下を歩いている最中私がそう口にすると、音柱様が足を止めて振り返った。



『柱の方々は一般隊士以上に忙しいでしょう。

　なのに"明日伝える"なんて、意図していたようにしか思えません』


「...まぁ、正確には"先見の明"だな」



音柱様はそう言って歩き出した。

それに伴い、私も足を進める。



「お館様の家系が代々受け継いでいる力だ。

　政府非公認の鬼殺隊が今も変わらず存在しているのも、

　お館様やその先祖がその力で財を成し、幾度もの危険を回避してきたおかげ」



なんとも非現実的な話だ。

いや、一般人からしてみれば鬼がいる事も非現実的か。



「取り敢えず、これでお前も晴れて柱になったわけだ。おめでとう」


『あなたが言いますか』



「そこは喜べよ」と音柱様は私の頭を乱暴に撫でた。

私が乱れた髪を手櫛で整えながら忌々しげに見上げると、フッと笑われる。



「明日はお前が俺の嫁になったことも報告しねぇとな！」


『それはいいです、まだ仮なので』


「どうせすぐに俺様の派手な格好良さに惚れるんだから変わらねぇだろ」


『多分もう惚れてますけど』



私がそう言うと、音柱様はぽかんと口を開けて立ち止まった。

何なんだと私が眉を寄せて振り返ると、音柱様は右手で顔を覆う。

そのまま大きな溜息をついてうなだれた。



「お前、恥じらいとかないのかよ...」


『言いましたよね、"多分、私は音柱様を好いています"と。

　私が自覚していないだけで、惚れてはいると思いますよ』


「...そういうところな...」



搾り出す様にして言った音柱様の耳は、僅かに赤みを帯びていた。


恥じらいがないのかと聞かれれば、答えはなし。

そりゃあ自覚すれば多少はあるかもしれない。

だが今の時点ではそんなものは私の中に存在しない。


むしろ、散々求婚しておいて何故照れるのかが分からないのだが。



『...そんなんでこの先大丈夫ですか？』


「俺を誰だと思ってる。美人な女房を三人持った祭の神だぞ。

　心配しなくとも、すぐに自覚させてやるよ」



そんな状態で言われても説得力がない、とは言わないでおこう。

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