玖拾陸 ページ21
時透は急いでAに駆け寄ると、少し冷たくなった身体を抱き起こした。
「Aっ！Aっ！！なんでっ...！」
『...ごめ、ね...鬼舞辻に、遭遇して...』
失った左腕、穴の開いた腹、無数の切り傷。
痛々しいAの姿は、時透の頭を"死"の文字で埋め尽くすには十分過ぎた。
『でも、思い出せたの...無一郎のこと...全部...だから、もういいの』
「よくない！僕はまだAと生きたい！恋人らしいことも出来てない！
もっとやりたいことも沢山あるんだ！梓だって、まだ呼吸すら覚えてないのにっ...」
時透の頬を伝った涙が、Aの顔に落ちる。
Aが時透の涙を見たのは、これが初めてだった。
"無一郎が自分のために泣いてくれている"
それだけでAは愛を感じる事が出来て嬉しかった。
『...ねぇ、無一郎...』
Aは右腕を持ち上げると、弱々しく時透の手を握った。
その冷たさに、時透の心はさらにズキンと痛む。
『梓のこと...よろしく、ね...宇髄さんだけじゃ、心配、だから...それと』
Aが微笑むと、閉じた目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
『私、のこと...こんなに、愛してくれて...ありがとうっ...！』
「っ...馬鹿っ...そんなの僕もだよ...！絶対鬼舞辻を倒すから、見ててよね」
『...う、ん』
時透は少しAの頭を持ち上げると、血の気が引いた唇にそっと自分の唇を重ねた。
それが合図だったかの様に、時透の腕にかかる重みが大きくなる。
唇を話してAの顔を見ると、幸せそうに微笑んでいた。
「...またね、A」
時透は冷たくなったAの身体を持ち上げると、山を下りた。
Aの屋敷へ...自分の屋敷ではなくとも、長い時間二人で過ごした光屋敷へ帰るために。
光柱、輝峯Aと、別任務に当たっていた炎柱、煉獄杏寿郎。
この日、その二人の死が同時に鬼殺隊員へと伝えられた。
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桜餅(プロフ) - 織葉さん» ありがとうこざいます！作るの遅くなって申し訳ありません... (2020年2月16日 11時) (
レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
織葉(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも頑張ってください。応援しています！！ (2020年2月15日 22時) (レス) id: f370ea2008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イリア x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時：2020年2月15日 22時
