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陸拾参 ページ31

「雪の中すまない」




Aがやって来たのは、竹林の中にある冨岡の屋敷だった。

頭や肩に乗った雪を払い落とし、Aは冨岡の後を付いていく。

居間に案内され、机を挟んで向かい合わせに座った。



「...お前は、あの人の知り合いだったのだな」


『えぇ。母の育手で、両親を亡くした私を育ててくれたの。

 冨岡殿のことも、鱗滝さんから聞いているわ』



冨岡のいう"あの人"が鱗滝のことだと解釈したAは頷いた。



『それで、私を呼んだ用件は?』



なかなか本題を切り出さない冨岡を、Aが促す。



「竈門炭治郎と、その妹についてだ」


『切腹の件ね』



言葉足らずの冨岡に、Aが補足する。

前にAが鱗滝に送った文の内容は、

【もし竈門禰豆子が人間を喰らった場合は、自分も共に腹を切ってお詫びする】というもの。


これは竈門が最終選別に受かったことを前提としているが、

受かってからでは遅いだろうと、Aは事前に送っていたのだ。



『実際に二人に会った結果、私は二人のために命を捨ててもいいと思ったの。

 冨岡殿の考えがどうであれ、私はこれを破棄する気はない』


「...感謝する」



本当に言葉足らずな人だと、Aは改めて感じた。

本来は「わざわざ輝峯にまで命を懸けてもらうのは申し訳ないが」と入っているこの言葉。

Aは理解出来たが、他の人物であれば、話がいまいち噛み合っていないと思われるだろう。



「"殿"はいらない」


『は?』



いきなり言われた言葉に、Aは思わず抜けたような声を出す。

しかし、すぐに彼の言いたいことを理解した。



『じゃあ、冨岡さん』


「あぁ」


『(本当に言葉足らずね...今なら胡蝶殿の言葉も納得できるような気がする』



先日怪我の手当てをしてもらった時、

胡蝶に「実は、冨岡さんって嫌われてるんですよ」と言われたのを思い出したAは、

申し訳なく思いながらも彼女の言葉に共感した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

大正コソコソ噂話


Aが年上である無一郎くん以外の柱相手に敬語じゃないのは、

男の振りをしていた時の名残らしいです。

一度柱のみんなに敬語の方がいいかと聞いたら、満場一致でなしがいいと言われたようです。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 男装少女   
作品ジャンル:恋愛
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桜餅(プロフ) - 天さん» 狐の面を付けなくなってから、正確には無一郎くんに過去を話した時から本来の声で喋ってます。分かりにくくてすみませんでした... (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
- 声を偽っていた設定ってどうなったんですか? (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 詩さん» ありがとうございます!現在受験の追い込み時期でして、更新が少し遅れそうなんですが、できる限り更新出来るよう頑張ります! (2020年1月19日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
- 続き楽しみにしてます!頑張って下さい! (2020年1月19日 13時) (レス) id: 059c2de8f9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» 絶対楽しいですよね柱の飲み会!楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年12月29日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2019年12月28日 23時

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