伍拾玖 ページ27
五日経ち、無事完治したAは屋敷で鍛練をする。
いつもなら重しを付けて行っていたが、手足の痣を見た胡蝶に訳を吐かされた結果、
鍛練の内容にまで制限を設けられたのである。
一通り終わったところで、Aは木刀から真剣に持ち変えた。
Aが使う光の呼吸の型は、今のところ肆ノ型まで。
闇の呼吸が使えなくなった今、これだけではやれることも限られて来るので、
新しい型を作ろうと考えたのだ。
打ち込み台を鬼に見立てながら、Aは頭の中で呼吸の形を創造する。
『(【天の舞】はどちらかと言えば不意打ち、【白光輪】は鬼の攻撃を捌くのに向いている。
【天使の迎え】は、確実に頸を斬れる時じゃないと隙が出来そうだし)』
となれば今の私に必要なのは...と思考を巡らせていると、門の方からAを呼ぶ声がした。
『無一郎...?』
「よかった、いた」
そう言った時透の手には、甘味処の包みが。
「一緒に食べたいなって思ってたけど、任務で会えなかったし」
『じゃあ、一緒に食べましょ』
久しぶりに会えて嬉しいのはAも同じ。
包みを受け取り、時透を屋敷へ上げた。
中に入っていた和菓子とお茶をお盆に乗せて、縁側で待っていた時透の横に座る。
「いつ見ても綺麗だね、ここの藤の花」
『藤襲山と同じで、枯れることがないからかもね』
「...それ、付けてくれてるんだ」
お茶を一口啜った時透は、結わえられたAの髪に目を向ける。
白と青緑の結紐で結わえられた髪に、桜の簪が刺さっている。
Aはそれらに触れながら頷いた。
『えぇ。せっかく貰ったんだし、付けないと勿体なくて。
それに、前までは結わっていたのが普通だったから』
『あまり違和感もないし』と、Aは時透に微笑んだ。
それを聞いた時透も、釣られて頬を緩めた。
そんな大人らしい雰囲気を持つ二人だが、いつの間にか十四という歳になっていた。
けど、二人には関係ない。
どれだけ歳をとろうが、どれだけ危険な目に遭おうが、二人の間で結ばれた絆は絶対だった。
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桜餅(プロフ) - 天さん» 狐の面を付けなくなってから、正確には無一郎くんに過去を話した時から本来の声で喋ってます。分かりにくくてすみませんでした... (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
天 - 声を偽っていた設定ってどうなったんですか? (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 詩さん» ありがとうございます!現在受験の追い込み時期でして、更新が少し遅れそうなんですが、できる限り更新出来るよう頑張ります! (2020年1月19日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
詩 - 続き楽しみにしてます!頑張って下さい! (2020年1月19日 13時) (レス) id: 059c2de8f9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» 絶対楽しいですよね柱の飲み会!楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年12月29日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2019年12月28日 23時