伍拾陸 ページ24
刀を支えに、Aは立ち上がった。
右脚のふくらはぎからは血が流れている。
倒れ込んだAの視界に、小さな氷の人形が入った。
大方、それに斬られたのだろう。
いくら隊服と同じ繊維で出来ていようと、靴下の方が薄いため強度は落ちる。
深めに入った傷に手ぬぐいを巻き、足を引きずりながら歩いた。
「蝶屋敷ニ向カエェ!重傷!重傷ゥ!カアァァ!!」
『こんなのただの切り傷よ。大したことないわ』
「ダメダ!向カエ!向カエェ!」
『いい加減、ちょっと黙って』
鴉の大声に耳を塞ぎながら帰路を歩く。
産屋敷が鴉に、怪我をしたら蝶屋敷に向かわせるようにと指示したため、
何度も何度も同じことを繰り返す。
それを知らないAは、鴉の言葉を無視していた。
「あら、Aさんではありませんか」
あと少しで闇屋敷がある山に着くというところで、
Aは自分と同じく任務帰りの胡蝶と遭遇した。
当然、胡蝶はAが引きずっている足を見逃さない。
「まさか、このまま自分の屋敷に帰ろうだなんて思っていませんよね?」
『いや、ただの切り傷だから...』
「"ただの切り傷"程度なら、隊服を着ていれば付くはずありませんよ。
それに、手ぬぐいが真っ赤に染まるほどの出血量で重傷じゃないなんてありえませんからね」
有無を言わさぬ胡蝶の笑顔を見て、Aは渋々蝶屋敷へ向かうことになった。
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桜餅(プロフ) - 天さん» 狐の面を付けなくなってから、正確には無一郎くんに過去を話した時から本来の声で喋ってます。分かりにくくてすみませんでした... (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
天 - 声を偽っていた設定ってどうなったんですか? (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 詩さん» ありがとうございます!現在受験の追い込み時期でして、更新が少し遅れそうなんですが、できる限り更新出来るよう頑張ります! (2020年1月19日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
詩 - 続き楽しみにしてます!頑張って下さい! (2020年1月19日 13時) (レス) id: 059c2de8f9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» 絶対楽しいですよね柱の飲み会!楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年12月29日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2019年12月28日 23時