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参拾捌 ページ3

「A、食べたいのある?」



ふろふき大根を頬張りながら、時透はAに尋ねた。

見れば、Aは箸にすら手を付けおらず、ずっとお茶を啜っているだけだ。



『別に、お腹空いてないから』


「強くなりたいなら食べないと駄目だよ」



「あんな風に」と、時透はもの凄い勢いでかき込む煉獄と甘露寺を指さした。

それを見て、Aは分かりやすく眉をひそめた。



「まぁ、あそこまで食べなくてもいいけど。

 せっかくAの為にみんなが連れてきてくれたんだから」


『......』



Aは渋々箸を持ち、近くにあった料理を取る。

一口食べると「美味しい?」と聞かれたので『美味しい...』と小さく返せば、

時透は「そっか」と笑った。


Aはまた、あの不思議な感覚を感じた。

自分でも分からないが、害はないだろうと考えるのをやめた。



「そういえばAさん」



甘露寺と話していた胡蝶が、不意にAの方を振り返った。



「Aさんは女性用の隊服は持ってるんですか?」


『いえ、最終選別の時に男用の隊服を支給したから...』


「では、明日支給しに行きませんか?」



そう言って、胡蝶はにこりと微笑んだ。

しかしAはと言うと、任務の時はこれまで通り男の振りをして行くと考えていた。

そのため、隊服については全く考えていなかったのだ。



『私はこれまで通り、男用の隊服でいいけど』


「私たちが駄目!そんな綺麗な顔を隠すなんて勿体ないもの!」



どうやら二人で話していたらしい。

二人の圧に押し負けたAは、結局明日、新しい隊服を支給しに行くことになった。


Aが小さくため息をつくと、宇髄が来て肩を組んだ。



「おらおら〜お前も飲め〜!」


『重い、離れて』



強烈な酒の匂いに思わず顔をしかめながら、Aは宇髄の顔を押し退ける。

成人組の方を見れば、冨岡は既に潰れており、伊黒と悲鳴嶼は飲んでおらず、

不死川と煉獄は、潰れてはいないものの顔が赤くなっている。


かく言う宇髄も相当出来上がっているようだ。

Aが未成年なのにも関わらず、一歩も引く気配がない。



「宇髄さん、Aさんは未成年なので駄目ですよ」


「あ〜?いいだろ今回ぐらいよ〜」



胡蝶が声をかけたが聞く耳持たず。



「酒は美味いぞ〜!」


『だから私飲め、んんっ!?』



Aが口を開いた瞬間、宇髄はAの口に、盃に入った酒を流し込んだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 男装少女   
作品ジャンル:恋愛
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桜餅(プロフ) - 天さん» 狐の面を付けなくなってから、正確には無一郎くんに過去を話した時から本来の声で喋ってます。分かりにくくてすみませんでした... (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
- 声を偽っていた設定ってどうなったんですか? (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 詩さん» ありがとうございます!現在受験の追い込み時期でして、更新が少し遅れそうなんですが、できる限り更新出来るよう頑張ります! (2020年1月19日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
- 続き楽しみにしてます!頑張って下さい! (2020年1月19日 13時) (レス) id: 059c2de8f9 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» 絶対楽しいですよね柱の飲み会!楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年12月29日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2019年12月28日 23時

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