拾捌 ページ21
Aが向かっていたのは、ある大きな山。
その頂上付近にある墓石の前に、Aは買った藤の花を置いた。
この墓石は、Aの両親のものだ。
Aが鍛練から帰って来ると、両親はいなかった。
それからずっと走り回って見つけたのが、ここ。
両親は無残に喰われており、まだ幼かったAには刺激が強すぎるものだった。
『...父上、母上...私が絶対に、敵を取って見せるから...』
近況を報告したAは、最後にそう呟く。
どんな話をしようと、最後は決まってこの言葉。
Aは閉じていた目を開けると、登ってきた方の反対側から山を下りた。
次にAが向かったのは、狭霧山と呼ばれる山だ。
その中にある小さな家の扉を叩くと、会いたかった人物が出迎えた。
『...お久しぶりです、鱗滝さん』
「随分早かったな」
元水柱、鱗滝左近次。
天狗の面を付けた老人で、Aの母、夜月の育手でもあった為、
幼い頃からよく会っていたのだ。
『新しく弟子となった少年というのは？』
Aは鱗滝と対面するように正座し、文に書かれていた弟子について聞いた。
鱗滝は山の方を見上げる。
「今、山で修行中だ。ちょうど岩を斬らせているところでな」
『...斬れないと思ってやらせているんですよね』
鱗滝の弟子の殆どが、最終選別から帰って来ていないのを、Aは知っていた。
現水柱である冨岡義勇は生き残っているが、一緒に受けた少年は亡くなったらしい。
「わしはもう、子供たちを失いたくない...」
『......ところで、奥の部屋から鬼の気配がしますが』
しばらく黙っていたAだが、重い空気を変えようと話を逸らす。
鱗滝は立ち上がると、部屋の戸を開けた。
中を見ると、竹の口枷を付けた少女が眠っていた。
『この子は...』
「新しい弟子の妹だ。
妹を人間に戻す為に、彼は毎日修業をしている」
鱗滝から話を聞いたAは、彼が修業している場所まで登った。
そこに近付くにつれ、話し声が聞こえてきた。
赤みがかった髪の少年と、花柄の着物をきた少女。
気配を消していたが、二人はすぐにAに気付いた。
「えっと...」
『輝峯A。貴方たちは？』
「俺は竈門炭次郎です。こっちは真菰」
真菰と言われた少女は、にこりとAに笑いかけた。
Aは真菰の存在に違和感を感じながらも、二人の修業を見ていることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅(プロフ) - 。さん» 起きてすぐだったのと、無一郎くんがいることを知らなかったので声は作ってません。説明不足で申し訳ないです... (2020年4月2日 15時) (
レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ウルさん» そうなんですね、初めて知りました！私は瞳孔が青、私たちで言う茶色の部分が白のイメージでした(これでもわかりにくいかったらすいません...)コナンの「純黒の悪夢」という映画に出てくるキュラソーというキャラの目を見ると分かるかと思います。 (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
。 - 時透君に素顔を見られた時(参拾弐話)って、声つくってたんですか？ (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
ウル(プロフ) - 透明の瞳というのは何色を表しているんでしょうか？本来透明の瞳というのは瞳の裏の赤い色になります。なのでさくしゃはどのような色を想像されたんでしょうか？(少し疑問に思いました。 (2020年4月2日 0時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» ですよね！いろんな人が鬼とハーフとか考察してましたが、それとは比にならないくらい辛い過去でした..だからこそ、やっぱり蜜璃ちゃんと結ばれてほしい！来世とかじゃなくて今二人が鬼殺隊として生きてるこの時代で！みんな頑張れ！！ (2019年12月24日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イリア x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時：2019年12月1日 14時
