【鬼滅の刃】闇柱は闇を背負う【時透無一郎】

拾陸 ページ19

『違う所は二つ。

　一つ、十二鬼月の鬼が、他の鬼を従えていたこと。
　
　普通鬼は群れることはないのですが、従っていた鬼は村の子供をさらい、

　自分では喰わずにその鬼へ渡していました。

　また、十二鬼月の鬼の命令に従う姿も見られました』


「二つ、鬼は去るときに「あの方がお呼びだ」と口にしていました。

　これまで出会った十二鬼月からそんな言葉を聞いたことがなかったので、

　その鬼は他の鬼とはまた違った鬼舞辻無惨との関係を持っている可能性があります」



話し終えると、産屋敷はゆっくり頷き、柱全員を見回す。



「二人が言うには、その鬼の目に刻まれていた数字は【参】だったらしい。

　けど、これまでに感じたことのない殺気から、本当は違うのではないかと言われてね。

　まだ定かではないけれど、その鬼と遭遇したときは注意するように。

　今回話したかったことは以上だ。下がっていいよ」


「『御意』」



産屋敷が奥の部屋へ戻り、張り詰めていた空気が少し緩んだ。



「どんな見た目だった？その鬼は」



グウッと伸びをした宇髄が、頭の後ろで手を組みながらAを見た。



『長い黒髪、赤い瞳、赤黒く変色した白い着物。

　人間離れした美貌を持った女の鬼だ。見ればすぐに分かるだろう』


「美貌ねぇ...ま、うちの嫁に比べりゃあ派手に負けるだろうけどな！

　よし！じゃあいつも通り居酒屋行こうぜ！」



そう行って立ち上がった宇髄に続き、成年している者たちが中心に立ち上がった。

出て行こうとした宇髄が、首を後ろに捻る。



「闇夜、今回こそお前も来いよ！たまには派手に飲み明かそうぜ」


『俺はまだ未成年だ。それに酒の匂いは好きじゃない』



柱たちで行われる飲み会に、Aはこれまで参加したことがなかった。


単純に酒の臭いが嫌いという理由もあるが、

一番はやはり、飲食するには面をずらさなければならないから。

それで女だとバレるのが嫌だったからだ。

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