【鬼滅の刃】闇柱は闇を背負う【時透無一郎】

玖 ページ11

「...はい、これで大丈夫ですね」



痛み止めを塗り、包帯を巻き終わった胡蝶は、残りの包帯を救急箱にしまった。



「先程痛みはないと言っていましたが、無理に動くと後遺症が残る危険もあります。

　お館様へは私から伝えておきますので、しばらく任務は休んでくださいね」



胡蝶の言葉に、Aは頷かなかった。

それを見た胡蝶は、困った様に笑う。



「しばらくと言っても、三日もすれば治りますよ。今度の柱合会議にも間に合いますから」



そう言われては、Aも頷くしかなかった。



「では、私はこれで失礼しますね」


『あぁ、すまなかったな』


「闇夜さん、これまで一度も蝶屋敷に来たことありませんよね？

　これからは出来るだけ、蝶屋敷にいらしてくださいね」


『善処する』



胡蝶はにこりと笑って、闇屋敷を後にした。


Aが蝶屋敷を利用しない理由はただ一つ。

女だとバレないようにするため。


胡蝶もれっきとした医者だ。身体付きを見れば男か女かくらい分かるだろう。

今回だって、もしかしたら感づかれているかもしれない。



貴『(光の呼吸を完成させに行くのはバレないかもしれないけど、

　 もし昨日の様に柱の誰かに会ったら、もしかしたら報告されるかもしれない)』



産屋敷は本来のAの容姿を知っている。

柱からの報告でAが抜け出していることを耳に挟んだ場合、

それはAが産屋敷の命令に背いたことと同じだった。


休む時間がなかったとはいえ、毎日鬼を斬るのが普通だったAは、

憂鬱そうに溜息をついた。

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