バッターアウト ページ16
ふわふわ撫でられる感覚で意識が浮上する。いつの間にか閉じていた瞼を上げると、ふと頭上に影が出来た。
「先輩、?」
「……おはよう」
「おはようございます…?」
ぼんやりした頭のまま身体を起こせば、肩から毛布がずり落ちる。
「………私っていつの間に寝てました……?」
現状を確認するのが怖くて、まず目の前の疑問から確認する事にする。先輩が出してくれた素麺を食べ始めた記憶はあるが、完食した記憶は無い。……うーん答えは一つ。
「ご飯食べながら器用に寝てたよ」
「………すみません」
「アハハ!雲桜って案外すぐに照れるよね」
「…………それなりには」
最近、剣持先輩には恥ずかしい所しか見られてない気がする。食べながら寝るって赤子か。熱い頬を両手で隠し必死に治まれと念じていると、先輩は一通り笑い済んだのか私の顔にかかった横髪を耳にかけてくれた。………こういうこと、平気でしないで欲しい。
「気分はもう大丈夫?」
「…あの、」
「んー?」
「……あんまり、簡単にしないでください」
未だ治まらない熱に私の語末はどんどん小さくなっていく。先輩は対して気にもしてない様子で、私の反応を楽しむように今度はその手を頭に乗せた。
「……!だからぁ」
「あはは。でも雲桜ってさ___撫でられるの好きでしょ?」
ズギャン!!!!!!心臓を撃ち抜かれたかと思った。
真っ赤に固まった私に笑みを深めた先輩は、私が抵抗しないのをいい事に好き勝手撫で始める。触れられた所から火が出そうだ。
「………大丈夫だよ」
「へ、?」
「僕は何処にもいかないよ」
なんで、そんなこと言ってくれるの。って言おうとした口がそのまま固まる。…………そう、処刑用BGMさえ流れなければ。
「雲桜!?顔色悪__」
「も、もしもし…」
「そんな苦虫を噛み潰したような顔する人本当にいるんだ……」
バレてら。確実にサボったのバレてるよ。なんで叶知ってるの怖い。
『明日、一緒にGPS選びに行こっか』
「叶のヤンデレを受け止めた覚えはないの…」
『………はァ。今どこいるの?』
「え、来るの?」
『仕事も丁度終わったし。そう遠くは行ってないでしょ?』
「まァ神奈川だけど……ていうか大丈夫だよ?叶が心配するほど___!?」
「僕がそばいるので大丈夫ですよ、叶くん」
私のスマホを奪ってそのまま剣持先輩は通話を終了させた。
「……僕がいるからいいだろ」
剣持先輩、だからそれはダメだって。
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ぴた(プロフ) - ひなさん» 大好きだなんてありがとうございます!😭これからも読んで頂ければ嬉しいです! (2023年4月23日 16時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - YURIKAさん» コメントありがとうございます!😭この曲は私的に凄く大好きな曲で、絶対書きたいと思って温めてたやつです!笑 (2023年4月23日 15時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - みかんみかんさん» ありがとうございます!!最新話は絶対こうしたいと思って執筆したのでそう言って貰えてとても嬉しいです! (2023年4月23日 15時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 選曲良すぎて飛びました。あり、ありがとうございます...😭😭大好きです..😢😢 (2023年4月23日 6時) (レス) @page49 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
YURIKA(プロフ) - 初コメ失礼します! 最新話で出てきた曲名がどんな曲だったかイマイチピンと来なかったので調べて聞いてみたんですが、今までの話や二人の関係にピッタリすぎてぶっ飛びました…神選曲すぎます!! (2023年4月22日 23時) (レス) @page49 id: 2ef72ec18a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴた | 作成日時:2023年2月1日 19時