第五十八話 ページ15
「私…燐の役に立ったの？」
目を覚ますと、杜山ちゃんの声が聞こえた。
誰かと話しているようだ。
「え？ うん、…立ったよ。助かった」
相手は奥村くんらしい。
何か二人の世界みたいな雰囲気出されて布団から出るに出られないんだけど。
「わ、わ、私…！」
「？？どうした」
「嬉しい…！
あのね聞いて…！
私、これから何があってもずっと…
私は燐の友達だよ！
ずっとずーーっと友達だからね…！」
こういう時って愛の告白みたいなのが来ると予想してたんだけど、結果は大外れだった。
え、なに、なんで皆が寝てるところで、こんなコントみたいなことやってるの。
「・・・・ええええええええ！？」
奥村くんの叫び声が部屋全体に響く。
「…ブファッ」
続いて志摩くんの笑い声が聞こえる。
「す…すまん、我慢できへんかった…！」
「志摩！？ ななな何でお前、ここに！！」
「いや実家戻りたなくってー。
塾生寝る場所ないゆーて虎屋(ここ)の番頭部屋に押しこまれてんねや」
「うるさいな・・・寝起きは声が頭に響くんだよ・・・・
特に志摩くん」
「ええっ俺ぇ！？」
「Aもいたのか！？」
「…ちなみに私もいるわよ！！」
屏風の向こうから神木ちゃんが叫んでいる。
ちなみに志摩くんの隣には宝くんが寝ている。
てか、今回宝くんてどこに居たんだろう。
気づいたら同じ部屋で寝てたけど、牢屋に捕まっていた奥村くんを助けに行くときにはいなかったような。
勝呂くんと三輪くんは自室があるので、そっちで休んでいるらしい。
起き抜けに大声をくらったせいでガンガンする頭を押さえながら再び布団にもぐる。
今は夕方のようだし、このまま朝まで寝ようかな。
「つーか俺ら、明後日東京戻るらしいんやけど、明日一日休んでええて霧隠先生が！
よかったら…」
なにかみんなが騒いでいるような気がするけど、私は睡魔に勝てずゆっくりと目を閉じた。
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作者名：八咫烏 | 作成日時：2021年11月11日 11時
