170話 無くしたもの ページ48
姉さんが水の中へと消え、少し経った頃。
チェルベッロがタイムアップでの月戦終了を告げた。
今宵は決着がつかなかったため、自宅待機となる。
フィールドから出ると、ディーノさんとヴァリアーのみんなが慌ただしく動いていた。
大方、姉さんのことだろう。
きっとあの人は独断であんな無茶なことをした。
だから、みんなが今こうして動揺してるんだ。
考えると同時に湧き上がってくる喪失感を、振り払うように中央まで走った。
「山本、お疲れ様……」
「おう」
それから、とツナがこっちに顔を向けた。
「Aも、お疲れ」
「………」
「A？」
呼ばれ、気づいて振り返る。
「え？ あぁ……ありがと」
慌てて、ニコリと笑うと、ツナは心配そうにこちらを見る。
「A……大丈夫？」
「はは、ボーッとしてただけだよ。平気平気」
そう言い終わると、チェルベッロが現れ明日の対戦カードを宣言した。
「明晩の対戦は、霧の守護者同士の対決です」
「おいリボーン来たぞ！ どーすんだよ！？ 霧の人って一体……！」
不安そうに頭を抱えるツナとは対称に、 リボーンさんは、楽しそうに口角を上げた。
霧、か……誰なんだろう。
そう少しの不安と疑問を抱きながら、私達は別れる。
＊
＊
＊
＊
＊
家に着くと、誰もいないその空間が私を出迎えた。
いつも笑って、家の空気を明るくする彼女がいないのは、ひどく寂しかった。
いや、いない日ならこれまでも多々あった。
けど、あんな形でいなくなるなんて、
……姉さんは、無事だろうか。
あの獰猛で大きな鮫がいる水中に、武器も持たずに飛び込んで、
「馬鹿じゃないの……」
スクアーロさんを助けたかったのはわかる。
わかる、けど……
思えば、あんなに親切にしてくれたスクアーロさんも、いなくなってしまった。
あの中で助かる可能性なんて、限りなくゼロに近い。
私は、今日で大切な人を、2人も……無くしてしまったのか。
暗く、冷たい部屋がそれを更に深く実感させ、堪らずうずくまって、
込み上がるそれを必死に押し殺した。
明日は、誰が来るんだろう。
なんにせよ、もう……
誰もいなくならないで。
そう強く願った。
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桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
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