168話 デスマッチ ページ46
カチ、とリングの合わさる音がする。
カメラの方に、リングを掲げて山本は笑った。
「勝ったぜ」
「やまっ………！！」
傷だらけの彼と、ギリギリの勝利に言葉が詰まる。
山本は気づいてこちらを向くと、ニカッと笑った。
その後チェルベッロが月戦の開始を告げる。
制限時間は、3分。
「そんじゃA、こっち来いよ」
「月戦だね、ルールだから一応やんないと」
嫌々ながら、短剣を取り出し彼の方へと降りると、
ギィ、という重い扉が開くような音がした。
「ん、？」
「なんの音？」
そこへ、チェルベッロの声が響く。
「規定水深へと達したため、獰猛な海洋生物が放たれました。」
まじか、と少しの恐怖に顔がひきつる。
と、山本がなにかに気づいて声を上げた。
「待ってよ、スクアーロはどうすんだ？」
「スクアーロ氏は敗者となりましたので生命の保証はいたしません」
淡々と、冷酷に告げる彼女達。
「そんな！」
「んなこったろーと思ったぜ」
山本はそういうと、スクアーロさんの体を担いだ。山本のその身体で彼を担いでいくのは無理に等しい。
私は駆け寄って一緒にスクアーロさんを抱えることにした。
「A……！」
「一旦中断、二人で持った方が早いでしょ？」
「……ハハ、確かにな」
言って、私達はがれきの上を歩き始める。
放たれた海洋生物は大きな鮫で、その鮫はフィールドの柱を噛み砕き、私たちを水面の近くへと引き寄せる。
「うわっ！？」
「やべっ」
思ったよりも近くにいたその鮫に、焦っていると
「おろせ」
「「？」」
小さいが、確かに聞こえた声。
「剣士としての俺の誇りを汚すな」
そんな事言われたって、下ろせるわけない……。
そう渋っていると、うぜえぞ！ と二人合わせて蹴り飛ばされた。
「ガキ、剣の筋は悪くねぇ。A、てめーの戦い方も悪くはねぇ。
あとはお前らの……その甘さを捨てることだぁ」
聞こえた刹那、大きな波飛沫とともに彼の姿は消えた。
「スクアーロ！！」
「スクアーロさんっ！！」
悲鳴にも近いその声は、降り出した雨に紛れて聞こえなかった。
*
*
*
呆然とその光景を見る中で、ディーノはこの酷い結末を見るツナ達を、哀れに思っていた。
その時だった。
俯きがちに目を伏せた、その視界の済で
俺のよく知る、艶やかな紫色の髪が舞った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
