135話 出場 ページ5
エレットゥリコサーキット、と呼ばれたその戦闘フィールドにまた雷が落ちる。
その直後に、床を駆け巡る電流。
特殊な導体が張り巡らされているらしい。
そのせいで落ちた電流が何倍にも増幅されるのだとか。
立ってるだけで焦げ死んじゃうよと、ツナが焦ったように言った。
震える足を押えて、目を瞑って目の前の景色をシャットアウトする。
と、両肩にバシッと手が置かれた。
「A！」
驚いて目を開けると、至近距離にあるツナの顔。
「大丈夫？ さっきからA顔色悪いし、震えてない？」
ツナがそう言って心配そうに私の顔を覗き込む。
何やってんの、私。
ツナに余計な心配させた。
「ん？ どうしたの急に、大丈夫だよ。それより、アレ」
私はランボの方を指さした。
このフィールドをアトラクションと勘違いしてはしゃぐアホの姿がそこにあった。
「わっ！ ちょっと待てランボ！ 危ないから！！」
そのやり取りを見てほっと息をつく。
やがて雷の守護者がフィールドの中央へと移動する。
対戦相手は二時間も前から待っていた、レヴィという人。
いつものように私たちは円陣を組んで、ランボを送り出す。
そこへチェルベッロがやってくる。
「A様、昨晩と同様コイントスをお願いします」
顔が引きつるのが自分でも分かる。
また震えだした手を抑えながらコインを受け取って上へと弾く。
クルクルと回りながら私の手の甲へと落ちる銀のコイン。
お願い、どうか……！！
手をどけると、無情にも出てきたのは、月の模様。
「そんな……―――」
「これにより、今宵も月の守護者の参戦が決定いたしました。A様もフィールド内へお入りください」
嫌だ―――………
『Aーー！』
聞こえる声を無視して、私は足を進める。
「お、Aもおれっちと遊ぶのかー！？」
「ランボ、ここに乗ってちゃだめだよ」
一応注意しておくも、やっぱりランボはこれをアトラクションだと思っているようだ。
「それでは雷のリング、レヴィ・ア・タンvsランボ勝負開始！！」
その宣言の後落ちる雷。駆け巡る電流。止まりかける足を僅かな理性で動かして、飛ぶ。
「ランボ飛んで！！」
叫びもむなしく、見事に電流がランボを包む。
「ランボぉ！！」
ツナの悲痛な声。そこに再び落ちた雷。
ショックと大きなその音に、私の足が再び動くことはなかった。
136話 あの日と同じ side雲雀→←134話 波打つ不安
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
