君が守ってくれた夢【3】 ページ23
「いいなぁ」
聞こえた相槌は、予想しなかったもので。
驚いてそちらを見る。
「そんなに夢中になれるものがあって。すごいね、かっこいいなぁ」
女の子は遠くを見つめ、そう呟いた。
「何がだよ、何がカッコいいんだっていうんだ……全然上手にプレーできないのに」
「でも、そうやって悔しがってるってことは上手になりたいって思ってるからでしょ？」
唐突に言われたそれに、言葉が詰まる。
「上手になりたい、そう思うのって好きだからでしょ？ だから頑張ってたんでしょ？ それってすごくかっこいいよ」
ね？ と振り向き笑う女の子。
「私も、君みたいに夢中になれるものが見つかるといいな」
と、楽しそうにまた笑った。
「……けど」
「だから、やめない方がいいんじゃない？」
さらっと、女の子は言う。
そんな軽々しく言うなよな。
どうしようもなく不機嫌で、俺はまた苛立ちを含んだ声をだす。
「俺の何がわかんだよ……！ わかんねぇのに……」
「でも、かっこよかったよ」
言葉を被せて、またいった。
「野球やってる山本君、見てたんだ。一人で練習してたところも。……かっこよかったよ」
女の子は振り向いて、俺の目を見据える。
そうして、柔らかく微笑んだ。
「……！」
鼓動が跳ねたのが自分でもよくわかった。
「うまくなれっかな……」
「なれるよ、きっと」
「俺、本当は……」
ーーーー野球、続けたいんだ。
気づけば口にしていた思い。
自分で聞いて、その思いを自覚する。
はは、そっか……やっぱ俺、野球好きなんだ。
「なんか、ありがとな」
「ん？」
俺は砂を払って立ち上がる。
その目に、さっきまでの弱気な感じはなかったと思う。
「話、聞いてくれて。俺、やっぱ野球続けるよ」
俺がそう言うと、女の子は嬉しそうに笑った。
「そういや、名前聞いてなかったな」
「風切A。同じクラスなんだから、覚えといてよ」
「はは、Aか。悪ぃ悪ぃ」
そうして俺たちは笑った。
「応援してるよ」
言いつつ、ふわりとまた笑う。
体が熱くなって、Aの目がよく見れない。
「サンキューな」
顔を背けてそう言って、俺はその場を後にした。
この日感じた想いの名前を知るのは、それから少したった頃だった。
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桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
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