君が守ってくれた夢【2】 ページ22
「！！」
俺は咄嗟に目を隠した。
誰だか分かんねぇけど、
こんな情けない姿を人に見られんのは嫌だったし
人に見せない弱気な思いを
聞かれていたのか、と俺は焦った。
その声の主は、
小さな足音を立てながら俺に近づいてきた。
「どうしたの？」
聞き覚えのあるその声は、
確か、クラスにいた女子だった。
クラス替えから、まだ話したことがなくて
名前もわからないけど、
よりにもよって、同じクラスかよと俺は苦笑する。
「泣いてるの？」
俺は無言で目をこすり、起き上がって二カッと笑った。
「ん？ どうしたんだ？」
澄んだ青い目をした、女の子が俺をじっと見つめていた。
「俺以外にまだ校内に生徒がいたんだな、委員会かなんかか？」
その視線を無視して、わざと明るい調子で言う。
けど、その目は全て見透かすように俺を覗き込む。
「どうして、泣いてたの？」
「……気のせいじゃねぇか？」
とぼけて笑う。見苦しいけど、それしかできなかった。
「なんで泣いてるってこと隠すの？ 恥ずかしいことじゃなくない？」
真っすぐに、キョトンと首をかしげる女の子。
恥ずかしいって？
……なんだよ、それ。
幼く、そして切羽詰まっていた俺は
そんな些細なことでイラついて。
「何でもねぇって言ってんだろ！！」
久しぶりに、大声を出す。
しまった、と口に手を当てるが、もう遅い。
女の子は何も言わない。
恐る恐るそちらをうかがうと、
「な……にしてんだ……？」
俺が先程転げていたバットを、拾ってこちらに歩いてきていた。
「これ、君のでしょ？」
澄んだ瞳とその声が、またも俺を射す。
「野球クラブの人だったんだね。これ、大事なものでしょう？」
にっこりと笑って俺にバットを手渡す女の子。
やめてくれ、
やめてくれよ。
そんなまっすぐに、俺を見ないでくれ。
俺は、自分の弱さから逃げ出そうとしていた
ただの臆病者なのに。
「っ……！」
自分で再度そう思うと同時に、またも、目頭が熱くなる。
「なっさけねぇ……」
自嘲気味に、思わず笑いを零す。
何が？ と問う女の子に自然と俺は話していた。
「うまく、いかねーんだ」
「頑張っても、頑張っても、できなくて」
「もう、野球なんてやめちまいたいんだ……」
自分で初めて発した思いに嗚咽が漏れた。
女の子は黙って、それを聞いていた。
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桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
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