君が守ってくれた夢【1】 ページ21
澄み渡る青空の下。
空中を斬る、白いボール。
「っと……！！」
向かってくるボールめがけて、力の限りバットを振った。
ど真ん中、ストレート。
当たって、軽快な音を立てて空に舞うはずのボールは、
無情にも俺を通り過ぎ、後ろへと渡る。
―――――ストライク。
「何やってんだよ山本ぉ！！」
「今のは打てただろ！！」
監督と、先輩。部員の奴らが口々に言う。
「いやぁ、わりわり！！ 手が滑っちまって……」
明るい調子でそう言って、笑う俺。
気をつけろよと、去るみんな。
俺は気づかれぬよう歯を食いしばった。
・
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練習終わりの放課後で、俺は校庭に立ち尽くしていた。
……本当は、分かってる。
さっきのも、ただ手が滑っただけじゃないって。
俺はバットを手にして、1人で振った。
何回、何十回、何百回と振って、
俺はバットを地面へと投げつける。
「っきしょーー……！！」
なんで、
なんでできないんだ。
なんで打てないんだ。
努力なら、してるつもりだった。
人一倍、遊ぶ暇さえ削って。
なのに、実力は伸びず周りの奴らに抜かされてばかり。
チームメイトに迷惑かけて、
高学年へと上がったのに、ただ一人、俺だけレギュラーに入れていなかった。
もっと、もっと頑張ればうまくなれるのか。
そう思ってまたバットを拾い上げるけど、もう、振る気にはならなかった。
どさっと、俺は誰もいないグラウンドに座る。
悔しい。
情けない。
………もう嫌だ。
度重なる自分の不甲斐なさに押しつぶされて、
柄にもなく弱気だった、小学5年生の夏。
小さいころから続けてきた野球を
この時一度「やめたい」と思った。
今は誰もいないから
1人だから、
それをいいことに、俺の目からは涙が落ちる。
それが何の所為なのかは、自分でもよく分からなかった。
「くそ……なんで、なんでなんだよ……」
ポタポタと地面を濡らしていくそれにさえ、情けなさを感じる。
カラン、とバットを転がして俺は地面に寝そべった。
このまま、すべてやめられれば楽なのに。
大好きだった野球も、今では自分を苦しめる材料でしかなくて。
「……やりたく、ねぇよ………………」
虚空に消えると思われた、弱々しいその声は
「何を？」
澄んだ声に、拾われた。
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桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
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