141話 目覚め ページ11
「Aってどうしてそんなに何でもわかるの？」
あどけない顔で、首をかしげてそういう彼女。
「何でもは分からないよ、兄さんに教えてもらってるだけ」
「でも、すごいよね！！ 私が知らないこといっぱい知ってる！！」
彼女はそう言うと、私の手を取り、顔をグイッと近づけた。
「だからさ、Aはこれからもたっくさん、私に教えてね！！」
真っすぐに、キラキラと輝くその笑顔が私は大好きだった。
「A、だ〜い好きッ！！」
1つ年下の彼女はいつも私の隣を歩き、天使のような優しさと笑顔で私を和ませた。
彼女にそう言われることが、私は本当に幸せだった。
・
・
・
・
「Aなんて、大っ嫌い！！！」
・
・
・
・
・
・
・
「っ！！」
夢見が悪くて、思わず目を見開いた。
けれどその瞬間、見ていた夢は忘れてしまう。
「はぁ……はぁ……？」
荒い呼吸の訳も覚えておらず、困惑に頭を抑えながら起き上がると、
思わず固まって、さらに目を見開く。
「……は？」
広いベッド、豪華なシャンデリア、壁には絵画っぽいものに、華やかなデザインの家具たち。
まるで何かの貴族の屋敷か、城かと思われるような仰々しい華美な部屋。
……一体ここはどこでしょう。
何だかこんなことが前にもあったような、と苦い表情でベッドから出る。
と、足に力が入らず、ガクンとその場に膝をつく。
「いった……」
身に覚えのない身体のダメージにさらに私は戸惑う。
仕方なくもう一度ベッドに戻って座っていると、部屋のドアが開いた。
入ってきたのは白髪の……
「ちょ、待った待った、待ったぁあああ！！！」
思わず叫び後ろへ後ずさる。
何で？ 何でここにいんの！？
その姿を認識するや、私はパニックになった。
確かこの人はスクアーロさんという名前の人だったはず。そして……敵だったはずだ。
「やっと起きたかぁ！！」
けどその人は私の存在に抵抗なしに、バカでかい声でそう言った。
……なんかパターンが同じな気がする。
私は浅くため息をついて、思考を巡らせた。
確か、昨日は争奪戦があったはずだ。それで、ランボが出てて……
瞬間、思い出す。そして、体の力が抜けた。
そうだ……私は、負けたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜もち(プロフ) - ２万hit突破してたー！すごく嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年8月3日 14時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - ヨーヨーさん» 大量更新すると言ったのに申し訳ありません(泣)まさか夏季課外なるものがあるとは……あと模試。高校怖い…今日からまた更新するのでこれからもよろしくお願いします！ (2017年8月3日 10時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
ヨーヨー - 本当に面白いです！早く続きが読みたいです！！！！ (2017年7月19日 11時) (レス) id: 0e946961c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - かほさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！ほんとですか！？わぁ、光栄です！アンケート作った際にはぜひ投票ヨロシクお願いします！ (2017年7月12日 17時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 本当に面白いです！良ければ未来編の最後までお願いしたいです笑！大変だと思いますが…是非見てみたいです！ (2017年7月9日 23時) (レス) id: ecda9cfb15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
