12櫻 ページ12
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…ハァ……ハァ……ハァ……
小さめの電気スタンドの明かりしかついてない薄暗い部屋に、俺の呼吸音だけが響く。
震える手で電話を切る。
改めて、自分で自分の今の格好をまじまじと見た。
ソファに押さえつけられていたままの姿勢で、衣服と髪は乱れ、汗ばんでいた。
顔には幾線もの涙のあと。
泣こうとして泣いたわけではない。
抵抗しても抵抗してもどうにもならない絶望間や焦燥感が、自然と涙を流させた。
ゆっくりと体を起こす。
何度も無理な体制を強いられたため、身体中に痛みが走った。
手首には強い力で長時間押さえつけられていたため、鬱血と内出血の跡。
動かすと鋭い痛みが走った。
乱れた服やズボン、そして床やソファの至るところに血の飛び散った跡。
その血を見た瞬間、
櫻:…ウっっ
先程の行為による感覚や音、臭い、全ての記憶がよみがえってきて、とてつもない吐き気が襲った。
急いでトイレに駆け込む。
吐いた。何度も吐いた。
汚い。自分の体が汚い。
洗わなきゃ。自分の身体についてるベタベタした何かを洗い落とさなきゃ。
シャワーを浴びた。
何度も、何度も何度も洗った。身体中の震えが止まらない。
涙はもう出てこない。
汚い。
ボディソープを一本使い果たしたところで風呂から出た。
リビングに戻る。
嫌だ。
まだ匂いが残ってる気がする。
嫌だ。
がむしゃらに消臭剤をかけた。
濡れたタオルで床を拭き、今日着ていた衣類と一緒にゴミ箱にぶちこんだ。
そしてソファをベランダに出した。
バチンと乱暴に電気スタンドを消して、
携帯を持って寝室にいき、顔まで布団をかぶった。
震えがいまだに止まらない。
寝ろ。
寝るんだ。
早く寝ろ。
その間、ずっと携帯を握りしめていた。
さっきの智くんの声だけが、
今の俺の支えだった。
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あらしっく磁石(プロフ) - 四季さん» そうなんですか〜! 確かに作成日時が2012年になってますもんね!あれ?と思って…笑 更新楽しみにしてます( ´ ▽ ` )ノ (2014年8月12日 18時) (レス) id: 7aa7a21637 (このIDを非表示/違反報告)
四季(プロフ) - あらしっく磁石さん» ありがとうございます!これはむかーーし作ってて放置してた作品です。消すのもなんか…もったいないと思って(笑) (2014年8月12日 11時) (レス) id: 240f78c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あらしっく磁石(プロフ) - 四季さん* こちらに来させてもらいました♪ これって、新作なんですか? 初めてお目にかかりました。 こちらの方も頑張ってくださいね♪ また忍ぶ。進む。のニューバージョンが出ることを楽しみにしてます笑 (2014年8月12日 9時) (レス) id: 7aa7a21637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四季 | 作成日時:2012年4月14日 23時