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◆47◆ ページ13

『すみません…ありがと、ざいます』

頭痛に顔を歪ませながらもきちんとお礼を言って車に乗り込む潤くん。

櫻井先輩は車に乗りこんでも教科書を離そうとしなくて智先輩に怒られてる。

『ほんとに、お願いやめて。限界だよ…』

『出来るから…おれ…へーきなの…へーき』

『ほら、熱あるでしょ。しんどいでしょ』

平気、とうわ言のように呟きながらガックリと項垂れる櫻井先輩に目を向けられない。


車は早くてすぐに潤くんの家に着く。

俺もここでいいです、って一緒に降りて。

遠くもなく近くもなくの俺の家までを強風と雨の中歩くけば、傘をさしても横から入ってくる大粒の雨が制服にしみを作る。


やっとついた時にはビショビショで慌ててお湯を沸かしてお風呂に入る。

これで風邪をひいたらアホすぎるから…




お風呂から上がれば通知が2件。

『今日はありがとう。』

頭痛の時は携帯の画面でさえ見るのが辛い、って聞いたことあるのに。

ほんとに律儀なやつだよね。


2通目は智先輩。

『翔ちゃんはテスト前に熱出したり不安定になったりってよくあるんだよね。びっくりしたよね?ごめんねー』

櫻井先輩の背負うプレッシャーは多分俺の想像以上で、俺が想像することなんて到底できないものなんだろう。

そんなことを思ったら胸が苦しくて、でも少しくらいそのプレッシャーを分けてくれたりしないのかななんてことも考えて。

結局めぐり巡る考えは終着しない。

ガタガタと揺れる窓と雨の音が部屋に響いていた。

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作者名:みーたん | 作成日時:2018年3月5日 10時

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