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『本当はね、こうやってお互い引きずらないようにしなくちゃいけない、って思ってた。でも弱かったのは結局俺。踊っていた記憶を閉まって、引っ張り出すたびに過呼吸になって…。もっと翔くんの負担を増やした。』
『今はもう日常的に痛むわけじゃないけど、結局俺は運動とかダンスとかそういうものから逃げた。翔くんと向き合うことも。』
俺は何も返せなくてただ俯いて。
『翔くんは俺がまた少しづつでもリハビリしてダンスした方が苦しくなかったのかな…。ふふ、ニノになら落ち着いて話したりできるのに。』
誰に聞いたのか、タダのつぶやきなのか分からないまま俺の口は勝手に動いていく。
「櫻井先輩って智先輩にとってどういう位置づけなんですか?」
『…親友、なのかな。お互いが弱ってる時支えあってきたから、ね。親友には自分のことで悩んで欲しくはないでしょ?』
「俺わかんないんですよ、友達とか親友とか。1人でいた時間が長すぎて。…だけど、多分先輩にとって櫻井先輩が親友だから心を許してるからダメになっちゃうんですよ。俺に話すのはまだ気張ってるから…」
智先輩は俺のぐちゃぐちゃな話に黙って頷いて。
『そうなのかな…ごめん、暗い話して。もうすぐリレー始まるよ。まつずんも翔くんもでるんでしょ?』
「あ、はい。そうですね。」
二人で窓を開けて外を眺める。
俺らに気づいた潤くんが大きく手を振ってくる。
振り返しながら、潤くんって親友?斗真は友達なのか?
…その答えは分からないままリレーのスタートのピストルがなった。
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作者名:みーたん | 作成日時:2017年12月19日 22時