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Aはどうでもいいところで嘘をつく悪癖がある。
それも当然のような顔をしてさらりと言うものだから、誰も嘘か本当かわからない。
好物すら掴めないなんて、どう接するのが正解かもわからなくなってしまう。
「なんなんだアイツ…」
「ハムカツサンド、ある?」
ため息をつく自分の後ろの空間が揺らいで、Aが現れる。
うおっ、と声を上げて振り返れば、彼女はニヤリと笑っていた。
「ははは、ビビりすぎでしょ、くくっ」
「誰のせいだと思ってんの?」
大人しくハムカツサンドを渡すと、お礼を言った後自分の椅子に座られる。
おかげで自分の座る場所はなく、一人立ってAに捧げるはずだった鮭おにぎりを咀嚼することになった。
結局アイツは何が好きなんだろう、ハムカツサンドか。
でも前はサンドイッチは好きじゃないと言って焼きそばパンを食べていたし、その前は納豆巻きを食べていた。
そもそもバグスターに食事は必要ないのに、毎度毎度好きなものをかっさらっていくのはなんなんだ。
自分も人に言えるほど正直な人間ではないけれど、どうでもいいところで嘘をつかれるのは厄介すぎる。
腹いせに上機嫌のAの手元からハムカツサンドを奪い取り一口齧ってやったら、Aの断末魔がCRに響き渡った。
紅茶の方が好きだけど【番外/桜井侑斗】→←真意も真偽も闇の中【九条貴利矢】
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作者名:L | 作成日時:2022年3月18日 23時