桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある弐 (ページ49)

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玖拾玖　本当の意味ページ49

中島「刀は握ったことがありません。

　

いつも苦内で刺していました」

中島は瞑想したまま喋る

中島「霊倭にいたときはそんな生活が当たり前だったので疑うことはありませんでした。

伊野尾様もそのように殺そうと思っていました」

山田「なぜ殺せなかった」

中島「見破られていたのです、全て」

中島は目を開き、遠くを見つめる

中島「ある日、部屋に呼ばれて話をされました。

君は俺のことを殺そうとしているね、と。

急いで殺そうとしましたが殺せず、自害しようとしました」

山田「自害…」

中島「殺すのに失敗したので霊倭帰っても殺されるとわかってましたから。

しかし、伊野尾様はそれを止めてその命を自分のために使ってくれとおっしゃったのです。

…とても、嬉しかった」

山田は初めて中島が頬を緩める瞬間を見た

中島「誰かのために命を使えるなんて当たり前だったのに、その命を自分のために使えだなんて今までになかった。

だったらと、自分の命を伊野尾様に使うことにしたのです」

山田「…そうか、ありがとう」

山田は立ち上がり中島に背を向ける

中島「…初めて会った時、あなたには伊野尾様を任せられないとおっしゃいました」

その時、中島が口を開いた

山田「言ってたな、そんなこと」

中島「今は違います。

今なら…本当の意味で伊野尾様を任せられる」