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陸拾漆 騙し ページ17

静かに、ただ静かに桜の木の下にある木の板を見つめる影が一つ



彼は持っていた刀を突き刺し、無言で見つめる



何か言う訳でもない



その頬には傷が出来ていた



彼こそ、岡本を斬りつけ先ほど山田と中島と対峙した忍びであった



彼は何気ない顔をして丙星に潜り込んでいる



もしかしたら今の彼を山田が見たら丙星の物が羽織っている衣、透明な衣と判断するだろう



しかし、本来の姿は霊倭の忍び



彼は今、揺らいでいるのだ



このまま霊倭の人間として居続けるか、丙星に寝返るか



肩に一滴の雨粒が降る



その雨は次第に強くなり、彼を濡らしていく

 

彼は傘をささずに自分の居場所へと帰って行った

陸拾捌 煙管→←陸拾陸 理解



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作者名:慧jump | 作者ホームページ:http://wakabassl  
作成日時:2022年6月1日 8時

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