桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある (ページ10)

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拾　不治の病ページ10

年寄たちが帰った後、伊野尾は立ち上がる
　

伊野尾「…いやー、流石だね。

まさかそんなふうに見えてるとは思いもしなかったよ」

高木「喋り方…」

　

伊野尾「年寄の前だけ。

二人ならこの喋り方でもいいでしょ。

…それよりも山田はいつまで頭下げてるの」

そこで山田は顔をあげる

山田「…逆になんで高木はずっと立っていられるんだよ」

高木「いや…別に」

伊野尾「裕翔、山田に刀を返して」

中島は山田から盗った刀を返す

山田は何も言わずに中島から刀を取り返した

伊野尾「聞きたいのは山田の見分ける力と高木の刀を抜いた時に俺を殺すかもしれないという発言。

まずは山田。

霊倭の人を見分けられるって本当のことなの」

山田は黙って俯く

山田「…他の人と違うと思い始めたのは数えて九つの時です。

ちょうど霊倭の者たちが丙星に来たあたり、丙星の生まれと名乗っているのにも関わらず血塗れの衣を羽織っているのです」

伊野尾「血塗れの…」

山田「最初は変な衣だとしか思っておりませんでしたが、後にその方が霊倭の者であるとわかった時、理解したのです。

その衣は…霊倭の者の証であると」

伊野尾「なるほど…高木はどうなんだ」

高木「…僕のは、不治の病です」