桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある (ページ31)

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参拾壱　駆け引きページ31

八重「あなたが…丙星の藩主」

　

有岡は頷く

有岡「その通り。

とは言っても今ここにいる者しか知らないことだから黙っておくように」
　

そう言いながらも有岡は内心焦っていた

もし嘘だと見破られたら自身の命どころかここにいる全員の命が危ういであろう

隙を見せないように必死に取り繕う

早稲「…なぜ、藩主であろう方がこんな甘味処で商売なのかを。

言ってしまえばこのようなことをしなくても生きていける財力はあるはずだろう」

早稲は有岡を睨みながら言う

有岡「…確かに父が正式な藩主として皆に明かしてくれていたらそのような生活ができていたのかもしれないね。

しかし父は俺を藩主とする前に死んでしまった。

俺は確かに藩主とはなれたけど…年寄たちの言いなりになりたくなくてね。

身分を隠してこうやって藩の皆の話を聞いている方が好きなんだ」

…さて、なぜ有岡が丙星の藩主などという嘘をついているのか

それは前日の話となる