桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある (ページ12)

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拾弐　嫌悪ページ12

中島「それでは。

　
明日、お伺いします」
　

山田「…高木、先に帰ってて」

山田は先を歩く高木に言う

高木「…何かあったの」

山田「いや、あの人と話がしたい」

その言葉に高木は納得し、先に歩いて行った

山田が後ろを向くと中島が能面のような顔で立っていた

山田は中島に近づく

中島「…何か」

山田「…丙星の者ではないですよね」

その言葉に中島の眉が微かに動いた

中島「…おっしゃる通りです。

私の生まれは…丙星ではありません」

山田「ではなぜ」

中島「…元は忍びでした。

伊野尾様の殺害を命じられ、霊倭から送られてきました」

山田「霊倭から…」

山田は刀に手をかける

中島「しかし、殺害は失敗に終わりました。

見破られていたのです、全て」

中島は遠くを見るように上を向く

中島「…死を、初めて覚悟しました。

しかし、伊野尾様は刺客にも関わらず私を護衛お付として任命したのです」

山田「…それで」

山田は刀から手を離した

中島「どうせ霊倭に帰っても死ぬ身。

でしたら…伊野尾様の為に最期まで尽くそうと考えたのです。

…それにしても、本当に油断も隙もない人ですね」

山田は中島の話の途中で中島の手首を強く握っていた

その手には苦内が握られていたのだ

　

中島「私は…伊野尾様が信じると言われたらその人のことを信じます。

しかし、あなたは信じられない。

その誰も斬れない逆刃刀で…伊野尾様をお守りすることなど出来ない」