桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある (ページ11)

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拾壱　人格ページ11

中島「不治の病…それは医者をもってもして治せないのですか」

　
高木「えぇ。
　

刀を鞘から抜くと記憶が朧気になるのです。

山田の話では…とても嬉々として霊倭の者を斬り殺していると」

伊野尾は興味深そうに話を聞き続ける

高木「そのため…簡単に刀を抜くことは出来ないのです。

刀を抜いた後の自分が、何をするのか分からないのですから」

伊野尾「なるほど…斬るのは高木の役目で見分けるのは山田の役目だね。

そして二人とも…血が苦手だろ」

その言葉に山田と高木は目を見開く

伊野尾「高木が霊倭の者を斬った時、山田は咄嗟に目を背けたよね。

そして高木は刀を鞘に収めた後、血を見ない様にしていた。

これは俺の仮説に過ぎないけど…」

山田「左様でございます」

高木「…藩主様には隠し事など、出来ないようですね」

伊野尾は静かに目を閉じた

伊野尾「…嫌でも、わかってしまうからね。

父はそれを気味悪がった」

山田「…何故、でしょうか」

伊野尾「隠し事などがわかってしまうのは避けたい自体だからね。

いつ、子にその首を飛ばされるか…たまったものではない」

高木「…藩主様」

高木は座り、頭を下げる

高木「護衛の件、承ります」

伊野尾「…そう、ありがとう。

二人はどこに住んでいるんだい」

高木「この前来た甘味処です」

伊野尾「わかった、裕翔」

中島「承知しました」