桜舞い散る中、ただ守り続けたいものがある (ページ1)

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壱　二人の侍ページ1

暗闇の中、走る人影

その人影は後ろを気にしながら走り続ける

急いでこのことを自身の主に伝えなくては…

その思いのみで走る

だから気づかなかったのだろう

自身が徐々に追い詰められていることに…

しばらく走り続け、人影が見えなくなった頃

人影は安心して休憩する

この調子で行けばすぐに伝えることが出来る

ならば少し休み、体力を温存して…

「おい」

そう考えているところに声がかかった

初めは通り人だろうと思っているとその人物が持っている刀を見てその考えを改めた

血が着いているのだ

人影は後ろに下がる

「見つけたぜ…霊倭の刺客」

その男は刀を構え、嬉々としている

人影は素早い動きで懐から手裏剣を出し、男に投げた

男は手裏剣を刀で落とす

「次は…俺の番でいいか」

男はゆっくりと刀先を人影に向けた

人影は来るであろう攻撃に備える

「遅せぇよ」

しかし、次の瞬間には男は人影の後ろにいた

人影が後ろを向くとその首から赤い液体が吹き出す

人影はそのまま出来た赤い水たまりに倒れ、動かなくなった

男は刀を鞘に収める

「ん…うっ」

「お疲れ。

…いつもありがとう」

「いいんだ。

これが…僕の役目だから」