親切な店員 -YS- ページ7
YS-side
なんと・・置いてきぼりを食らった！
俺がトイレに行っている間に・・
弟たちもスタッフたちも店を出て行ってしまったようだ。
スタッフはﾘｮｳｸたちとラーメン屋に行ったと思ってるんだろうな。
その２人も、マネージャーも電話に出ないし。
こんなことなら、ラーメン食べなくても一緒に行けば良かった。
どうしたものかと困っていたら、さっきの店員が声をかけてくれた。
タクシーを呼んでくれようとしたが、お金を持っていない事に気が付いた。
それを聞いた彼女が、わざわざ店の車で送ってくれるという。
支えたお礼だと、缶コーヒーまで買ってくれた。
見ず知らずの俺に。
なんと親切な・・！
「コーヒー、冷めないうちにどうぞ」
YS「・・あ、ああ。」
しかも・・可愛いじゃないか。
ニコッと微笑む顔が天使だ、天使。
ﾄｩｷﾞﾋｮﾝを・・超えたな、うん。
走り出した車で、缶コーヒーを飲む。
お、結構うまい。
「日本へは観光ですか？お仕事ですか？」
YS「仕事・・だ」
「いつまで日本に？」
YS「明日、韓国に帰る予定だ」
「え、じゃあ日本最後の夜にうちの店に？ありがとうございます」
YS「料理、旨かった。弟たちも喜んでた」
「それはよかったです(*´-`)」
──やっぱりカワイイな・・
難なく会話してるけど、日本人だよな？
YS「韓国語、うまいな」
「大学の授業でとってるんです。しかも母と姉が韓国ドラマ大好きで、耳から覚えちゃいました」
──俺のこと、知ってるかな？
YS「・・K-POPも聞くのか？」
「うーん、K-POPはあんまり・・あ、でも少女時代やKARAなら少し分かりますよ。男性アイドルは全くわかんないですけど」
YS「・・そうか」
──やっぱり少女時代は日本でも人気あるんだな・・。
SJ、もっとガンバラないと！
「母はドラマの主題歌・・OSTっていうんですか？それなら聞いてますよ」
──おっ！！
ってことは、K.R.Y.の・・
俺たちの曲を聴いたことがあるかもしれないな・・。
いや、俺のソロも在り得るぞ？
とその時、ラジオから聞き覚えのある曲が流れてきた。
「あ、私この曲、好きなんですよね〜“ハナミズキ”」
彼女がラジオから流れる曲に合わせてハミングし始めた。
──かわいい・・声だな。
それは俺たちがカバーしている曲の、日本の女性歌手のオリジナルバージョンだった。
その曲を最後まで聞き終わらないうちに、車はホテルに到着。
なんだろう・・この少し残念な気持ち。
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作者名：紫桜雲
| 作成日時：2016年1月22日 20時
